2012 Fiscal Year Annual Research Report
極乾式メタン発酵法の創成~嫌気性真菌と嫌気性細菌の人工共生~
Project/Area Number |
23656328
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
宮原 高志 静岡大学, 工学部, 教授 (70239432)
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Keywords | 有機性廃棄物 / メタン発酵 / 嫌気性消化 |
Research Abstract |
極乾式メタン発酵法は汚泥脱離液処理施設を省略できることから分散型バイオエネルギーネットワークシステムに適しており、潜在的バイオエネルギー源の活用を可能とする。メタン発酵法は嫌気性細菌の多段階反応でメタン転換すると同時に廃棄物の減量化・安定化を行う方法であり、物理化学的前処理を組み込んだシステムも開発されてきている。本研究は有機性廃棄物の乾式メタン発酵において、高速・低含水率化の大きな障害である加水分解段階とそれにつづく酸生成段階を対象として、従来の細菌群のみにたよる方法から菌類をその担い手として活用する方法とすることで、水分の少ない環境で腐食連鎖を構築する方法を確立し、脱離液の極めて少ない極乾式メタン発酵法を実現することをめざすものである。嫌気性消化の種汚泥として下水処理場の嫌気性消化槽から採取した汚泥を用いて実験を行った。培養温度は中温嫌気性消化槽の至適温度および菌類の至適温度を踏まえた30度および加温エネルギーを減らすことを考慮して20度を対象として行った。含水率は一般的なメタン発酵槽に近い99%から脱水汚泥に近い80%までの範囲で検討した。好気性条件と比較すると嫌気性条件での菌類の増殖は遅いこと、温度および含水率が嫌気性細菌および嫌気性菌へおよぼす影響は大きく低温および低含水率では増殖が低下することが明らかにされた。嫌気性条件で有機物濃度の影響を1%から20%の範囲でグルコースを用いて検討した場合、10%を超えると増殖速度の低下が大きいことおよび20度では嫌気性細菌および嫌気性菌共に増殖速度は極めて遅く利用することが困難なことが明らかにされた。おから、じゃがいも、小麦を粉末状にした基質を用いて1%から20%の範囲で嫌気性菌の有無による処理性能への影響を検討した結果、じゃがいもおよび小麦と比較しておからの分解性は低いこと、嫌気性菌の影響は大きくないことが明らかにされた。
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