2011 Fiscal Year Research-status Report
UV分解を利用した有機フッ素化合物の迅速・簡易測定装置の開発
Project/Area Number |
23656330
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤井 滋穂 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (10135535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 周平 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (00378811)
原田 英典 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (40512835)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 有機フッ素化合物 / 測定法 / 迅速・簡易化 / UV分解 |
Research Abstract |
実工場廃水等のPFCs性状分析では、フッ素テロマー加工工場の排水処理工程別の採水を行った。その結果、数千ng/LのPFOAと数百ng/Lのフッ素テロマーアルコールを検出した。フッ素テロマーアルコールについては、大気からの検出例はいくつかあるが、排水からの報告例は少なく、今後の前駆物質を含めた動態解明のために、着目するべき課題であることが見出された。各種PFCsに対する最適なUV分解条件の検討では、PFOA、PFNA、PFOSを対象に、2種類のUVランプを照射し、照射時間、照射波長、添加酸化剤の濃度などを条件として、最適条件を検討した。その結果、80℃で酸化剤を添加した状態で、PFOAに波長254nm+185nmのUVランプを30分照射することで、PFOAを完全分解し、フッ素イオンでほぼ100%の収支が取れることが示された。一方、PFOSに関しては、上記の条件でも分解が進まないことが示された。分解性の検討では、分解後の溶液中の各種PFCAsの分析と、さらにMSスペクトルの解析を実施した。その結果、反応が最終的なフッ素のイオン化まで行かないケースでの分解機構について、詳細な検討を実施することができた。具体的には、フッ素の水素への置換が起こるケースと、逐次分解のように徐々に短鎖のPFCAsに変化していく様子が示された。また、温度が反応促進のための大きなファクターになっていることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の目的のひとつであったPFOAの完全分解条件を得ることができた。さらに、フッ素イオンでほぼ100%の収支を取ることが可能となった。また、完全分解が行われなかった場合の分解性の検討においても、m/zによる化学物質の推定が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
PFOAについては、さらに短時間で完全分解を得ることのできる条件の探索を進める。また、長鎖短鎖のPFCAsについても、完全分解条件の検討と、分解性の確認を行う。PFOSについては、反応温度をさらに95℃まで上昇させる系などを検討し、完全分解条件の探索を継続する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品として、装置作成及びPFCsの分析に関わる器具・薬品類が必要である。また、資料収集や成果発表のための旅費を使用する。
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