2011 Fiscal Year Annual Research Report
好塩性ポリリン蓄積細菌保持バイオリアクターによるリン資源回収と富栄養化防止
Project/Area Number |
23656331
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大橋 晶良 広島大学, 大学院・工学研究院, 教授 (70169035)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | リン / 資源 / リン蓄積細菌 / 海水 / 微生物群集 / 回収 |
Research Abstract |
本研究は、排水処理で適用されている生物学的リン除去の原理を応用して,海水から希薄ながらも多量に存在するリンを資源として回収するための生物学的リン高濃度化技術の開発を目的としている。そこで,未知な海水に生息する好塩性のポリリン蓄積細菌の存在と動態を明らかにし,リンの摂取・放出に適した環境条件を見出す。この微生物を新規のDHSバイオリアクター内に高濃度に保持させ,海水のリンを濃縮して10mgP・1^<-1>程度の高濃度リン含有液として回収できるかを実験により検討した結果、次の知見を得た。 模擬海水を用いたDHSリアクターによるリン回収実験において,ポリリン酸の蓄積と放出を行う好塩性のポリリン蓄積細菌を集積することに成功した,分子生物学的手法の16S rRNA遺伝子のクローニングによる群集構造解析を行った。酢酸とプロピオン酸を基質とした場合には,下水処理場で検出される淡水のポリリン蓄積細菌に近縁な細菌であったが,淡水では生息することはできなかった。また,酢酸基質のみの場合には,従来のポリリン蓄積細菌のクラスターには属さない未知の細菌が優占化していた。嫌気時間と好気時間のサイクルは,リンの摂取・放出量に大きく影響を及ぼし,嫌気3時間,好気9時間の12時間サイクルがポリリン蓄積細菌の集積に適していることも分かった。 実際の海水のリン濃度は0.02mgP・1^<-1>程度である。好気性条件下でのリン取り込み速度はリン濃度によって強く影響され,リン濃度が低くなるとリン取り込み速度が遅くなった。5mgP・1^<-1>の人工海水では100mgP・1^<-1>以上の高濃度リン含有液として回収することができたが,実際の海水のリン濃度は0.02mgP・1^<-1>程度であり,高濃度化できるものの100mgP・1^<-1>以上に濃縮することは困難であると推測された。しかし,生物学的リン高濃度化システムを2系列設ければ,100mgP・1^<-1>以上に濃縮できることが明らかになった。
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