2011 Fiscal Year Research-status Report
貧栄養細菌による環境中の極微量汚染物質分解技術の開発
Project/Area Number |
23656333
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
中村 寛治 東北学院大学, 工学部, 教授 (90382655)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 貧栄養細菌 / 微量汚染物質 / トリクロロエチレン / フェノール資化細菌 |
Research Abstract |
本研究では貧栄養細菌を利用した極微量汚染物質の分解を検討する。具来的には、環境中に微量汚染物質として存在するトリクロロエチレンを対象に、その分解能力を有するフェノール資化細菌を貧栄養環境下から単離して、研究を進める。フェノール資化細菌の有するフェノールヒドロキシラーゼがトリクロロエチレンを分解する。以下が、本年度の研究実績である。1)貧栄養細菌の環境中からの単離: 貧栄養の河川からサンプルを取得し、フェノールによる集積培養によって3種類のフェノール資化細菌を取得した。また、同様に貧栄養の土壌から7種類のフェノール資化細菌を取得した。2)単離フェノール資化細菌の系統解析:単離細菌をLB培地で培養した後、DNAを抽出し、それらをテンプレートにほぼ全域の16S rRNA遺伝子をPCR増幅、塩基配列の決定を行った。その結果、土壌から単離された1株がAcinetobactor属細菌であり、残りの9株は全てCupriavidus属細菌であることが明らかとなった。3)単離フェノール資化細菌によるトリクロロエチレン分解試験:10株の単離細菌をLB培地で培養し、フェノールでフェノールヒドロキシラーゼの誘導を行った後、トリクロロエチレンを添加し、その分解を確認した。その結果、1株のAcinetobactor属細菌を除いて、9株全てのCupriavidus属細菌が高いトリクロロエチレン分解能を示した。 次年度は、これら9株のトリクロロエチレン分解細菌を利用して、極微量のトリクロロエチレン分解の検討に入る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の計画通り、貧栄養環境下から、9株の新たなトリクロロエチレン分解細菌が単離できた。次年度は予定通り、それらの菌株を使った詳細な分解試験を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の実験では単離細菌が極微量のトリクロロエチレンを効率的に分解できるか否かを検討する。その過程では、最大分解速度やトリクロロエチレンに対する飽和定数を求める必要があり、回分実験や統計解析法を工夫して、研究を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の通り、次年度はトリクロロエチレン分解実験が主体となる。それゆえ、主として、その実験に使用する消耗品に研究費を利用する計画である。
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