2011 Fiscal Year Research-status Report
繊維補強セメント系複合材料を利用したハニカムパネルの開発に関する研究
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23656335
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西脇 智哉 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60400529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊田 貴恒 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20599055)
桐越 一紀 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 技術専門職員 (60240660)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 建築構造・材料 / FRCC / ハニカムパネル / 軽量化 / 長寿命化 |
Research Abstract |
平成23年度には、主にハニカムパネルに用いるFRCCの調合設計の調合設計について検討を行った。また、有限要素解析を用いたハニカムパネル形状の設計に着手した。これらの知見を用いてハニカムリブ・ハニカムパネルの試作についても実施することができた。調合設計の具体的な目標として、フレッシュ時の流動性については材料分離がない状態でテーブルフロー値を250mm以上とし、数mm程度以下の厚さに対して注入した上で、材料分離や有害な気泡などが混入しないことを挙げ、確認を行ったところ、テーブルフロー値は問題なく満足することができた。また、3mmの厚さまでの打設も確認できた。ただし、材料分離は見られなかったものの、若干の気泡の混入が確認されたため、打設方法の変更など引き続き検討を行う必要がある。力学特性としては、圧縮強度30N/mm2、引張強度10N/mm2、引張時最大ひずみ5%以上の確保を目標とした。引張強度と最大ひずみの数値目標のクリアには課題が残ったが、今後の検討課題とするとともに、解析によって目標値の再設定についても検討を行う。これらの目標値から設定した、現段階での最適調合のFRCCを用いて、ハニカムパネルの試作を行った。第一段階として、厚さ3mm程度の薄板に対して、上からの流し込みでも十分に打設可能であることが確認された。また、6角形のアクリル棒を用いて型枠とし、ハニカムパネル形状への打設試験により、十分に成形可能であることが確認された。引き続き、打設方法の改良検討と、パネルとしての力学特性評価を行う必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の研究実績の概要でも示したように、平成23年度に設定した目標についてはおおむね達成できたものと考えている。調合設計で設定した具体的な目標のうち、フレッシュ時の流動性は問題のないレベルのものが得られており、現時点でも3mm厚までは概ね問題のない打設が確認できている。打設方法の変更など今年度の検討事項として挙げているが、これについても基礎的な検討には着手しており、1mm程度までの圧入が可能であろうとの手応えを得ている。力学特性としては、シリンダーとして圧縮強度30N/mm2は十分に達成が可能な水準であった。ただし、引張強度と引張時最大ひずみについては、大きめのマージンを見込んだ設定としており、そのことが目標達成を難しくしている。ただし、本研究の目的は飽くまでもハニカムパネルの作製であるため、構造解析などによって適切な要求性能を再設定し、最終的な成果物であるハニカムパネルとしての性能評価を行いたい。既にハニカムパネルの試作を行った。今年度は、これをブラッシュアップしてパネル形状のものの作製も行う。これを効率的に行うために、解析にいても引き続き検討を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24 年度には、平成23 年度に得られた知見を元に、主にFRCC ハニカムパネルの作製・施工に関する検討を中心的な課題として取り組む。ハニカムリブの厚さや形状については、主に解析による検討を繰り返しながら、実際の作業工程や実現可能な精度を見据えながら試行錯誤を繰り返す。現在はアクリルパイプを並べて配置する方法を採用しているが、埋め殺しのまま使用できるような作製方法についてなど、様々な分野からも情報を収集しながら検討を行う。この時の形状については六角形以外(円や三角形など)についても、主に解析によって検討を行い、解析検討と並行して施工の容易さも勘案しながら検討を進める。これらの知見を総合し、研究期間内には実際の使用を目指したサイズとして、少なくとも1m2 程度の大きさのハニカムパネルを作製する。作製したハニカムパネルについては力学特性の評価を行うこととし、見かけの圧縮強度30N/mm2、見かけの曲げ強度6N/mm2 程度の達成を目指す。このときのFRCC の中空もしくは断熱材等への置換率を約80%、見かけの密度を500kg/m3 以下程度をそれぞれの目標と設定し、従来設定してた材料単体での力学特性に関する目標値の達成には必ずしも拘泥しないものとしたい。また、本提案によって得られるCO2 排出削減量の算定など、環境側面からの評価についても検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は効率的な経費の運用によって残高が発生した。これと併せて執行する今年度使用予定のうち、最も大きな経費は、解析検討を行うためのアプリケーションのレンタル料である(約74万円を予定)。購入とした場合は申請額から更に2倍以上の非常に高額なものとなるため、本申請期間内のリースとして計上している。この他に、試験体作製のための材料について、特に型枠分材料が大きな支出になると予想される。実大サイズを意識したパネルの作製を予定しており、この施工方法はまだ検討段階であり金額を確定することはできていないが、約50万円程度と予測している。予算の大部分は、これらの2項目に費やされるものと考えている。
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