2012 Fiscal Year Research-status Report
繊維補強セメント系複合材料を利用したハニカムパネルの開発に関する研究
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23656335
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西脇 智哉 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60400529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊田 貴恒 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20599055)
桐越 一紀 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 技術専門職員 (60240660)
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Keywords | 建築構造・材料 / FRCC / ハニカムパネル / 軽量化 / 長寿命化 |
Research Abstract |
平成24年度には、平成23年度から引き続きの検討課題であったハニカムパネルに用いるFRCCの調合設計に取り組むと共に、パネル形状への効率的な打設方法と、作製したパネルの力学的な性状の確認を中心に検討を行ってきた。調合設計に関しては、厚さ2mmまでの峡間の型枠内に材料分離を伴うことなく打設が可能となった一方で、本課題の申請時に目標とした圧縮強度30N/mm2は達成したものの引張強度10N/mm2や終局ひずみ5%以上の数値目標の達成は困難であった。これらの目標値には再検討を行い、ハニカムパネル形状となった際には材料単体としての引張強度の影響が限定的であることや、パネル全体での十分な靭性能が確保できることが確認でき、現状で達成している引張強度5N/mm2や終局ひずみ2%はパネルに必要な性能に達していると考えられる。CO2の削減効果に関しては、パネル形状が今後の検討によって変更される可能性があるため具体的な数値として表すことは困難だが、基本的な算出方法には十分な知見を得たため、具体的な計算によって示すことが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一連の検討によって、当初目標としていたFRCCそのものの調合設計や材料開発、また、パネルとして作製するための技術やノウハウについては一定の成果は上げることができたものと考えている。この一方で、これらの集大成と位置付けて目標に設定していた、実大サイズ(面積1m2程度を目安)のパネルの作製は、平成24年度までの研究期間内に実施することができなかった。これは、研究期間の後半となって新しい作製方法に考えが至り、実際のパネル作製までの時間的な余裕がなかったためである。すなわち、これまでの検討においてパネル全体を一体打設することを前提とした検討を行っていたが、パネルコアを小さな部品として個別に作製し、これを連結させる方法に思い至り、平成25年1月頃になってようやく一定の目処を付けることができた。小さな部品として作製が可能となるため、型枠や打設などの設備を簡易なものとしながら性能を保持することが可能となる。そのため、研究期間の延長が必要な事態となったが、下記に示すように形状の検討を行うための解析プログラムのライセンス期間の延長のほかには、既にある設備・材料で対応が可能であるため、研究遂行は十分に可能であり、当初より目標としていた実大サイズのパネル作製も平成25年度中に可能であると考えている。また、具体的な形状が設定されることで、CO2削減効果など環境側面からの定量的な評価も実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度までの2年間の検討により、ハニカムパネルの試作とその基礎的な検証を行うことができた。一方で、これまでハニカムコアを連続的に打設する方法を対象として試作パネルの作製を行ってきたが、上述のように研究期間の後半(2013年1月)に入って新たな作製方法で、パネルとしての力学特性を維持しながら作業効率を大きく改善できる可能性を見出した。すなわち、コア部分を小さなピースとして作製し、これを適切に配列してフランジ打設の際に一体化するものであり、簡易な型枠と打設器具のみで大きさを問わないパネルを作製することが可能となる。現在、具体的なコア形状の検討を解析と実験の両面で進めているが、平成24年度限りでは十分な成果とするのは困難な状況にあったため、平成25年度には主にコア部分の形状とそれを作製するための型枠作製、コア部分の連結によるパネル化に関する検討を引き続き行う。コア部分の形状は主に解析的な検討によって確認し、それを型枠へとフィードバックさせてパネル供試体を作製して、力学特性などの基礎的な評価を行う。特に、実大サイズ(面積1m2程度を目安)までのパネル作製を行って、その力学特性と共に施工性に関する検討も行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
延長期間となる平成25年度に支出する研究費は、解析プログラムの使用料(前半の半年間分のみ)に当てる。解析によるコア部分の形状の検討は引き続き行う必要があり、平成25年度前半に集中的に行うことを予定している。この一方で、年度の後半には実験による確認を予定しているが、供試体パネルの作製を含めて実験は当初予定より簡易に行えるため、基本的には現有の機器・材料で対応可能であり、本課題からの研究費の支出は行わない。
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