2012 Fiscal Year Research-status Report
アルティメート・シェルターの形態と力学性能に関する基礎的調査研究
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23656336
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川口 健一 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (40234041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻 芳郎 東京大学, 生産技術研究所, 特任講師 (00512005)
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Keywords | アルティメート・シェルター / 大量絶滅 / 宇宙構造 / 人体耐性指標 / 柔軟再突入 / インフレータブル構造 / トランスハブ / 隕石衝突 |
Research Abstract |
本年度は人体耐性指標の基本的な調査と、ダミーヘッドと石膏板などとの衝突実験を行った。内部空間の仕上げ材に人体が衝突した場合の衝撃荷重についてある程度の知見を得ることができた。また、米国の論文を中心に、人体体制指標に関する既往の研究に関して、特に頭部耐性に着目して、文献調査を行った。頭部の耐性指標は、HICなどの力積に基づく指標と、加速度に基づく指標、最大衝撃荷重に基づく指標、角加速度に基づく指標などがある。本研究では接触を伴う衝撃として、主に最大衝撃荷重に着目して研究を行っている。 また、本年度は軽量なインフレータブルシェルターのモックアップモデルとして、空気の陰圧を用いたのェルターの作成と居住実験を行った。膜面は、塩ビパイプによるアーチを構造材として支えられており、膜面は外部の気圧によって張力が導入されて安定化されている。アーチの座屈挙動を含めた構造特性の計測も試みたが、十分なデータが得られなかった。また、太陽電池を用いたエネルギー供給実験についても併せて行ったが、十分な電力を得るにはいたらなかった。これに関しては、太陽電池パネルがカタログ値に比べて十分な発電を行っていない点も判明した。 冬季であったため、単層空気膜に内部の気温は非常に低く、居住環境としては厳しいものであることが判明した。 シェルターの構造材に関して、展開型骨組みの可能性を探るため、ガンテス型ドームのフレームの非線形解析についても基礎的な研究を行った。ガンテス型ドーム特有のスナップスルー挙動を弧長増分法によって追跡することが可能であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
人体耐性指標の知見に関しては、ほぼ予定通りに調査を進めることができた。 また、モックアップモデルを作成し、不完全ながら、陰圧型のインフレータブルシェルターに関して、簡単な居住実験を行うところまで行った点は、予定以上の成果であった。 しかし、数値シミュレーションに関しては、簡単な展開骨組みのシミュレーションにとどまっており、計算モデルの構築や内部空間の状況把握に関しては、今年度以降の研究である程度のめどがつけらるように進めていきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度に、モックアップモデルを作成し、陰圧型のインフレータブルシェルターの居住性能に関してはある程度の知見を得ることができた。しかし、実際のアルティメートシェルターの挙動に関しては、まだ、不明な点が多く数値シミュレーションなどを駆使して、地上と宇宙との間をシームレスに行き来する挙動を把握する必要がある。このため、流体力学とインフレータブル構造の両方の特性を把握した数値計算手法を駆使することが必要となる。今後の当面の推進方策としては、高速流体の中のインフレータブル構造の動的な挙動のシミュレーションを行うことを目標とする必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
隕石衝突などの高速な大気の変化の中で、インフレータブルシェルターがどのように挙動するかについて、ある程度の知見を得たい。そのための数値解析を行う必要がある。数値解析そのものは研究室内にあるものを使用する予定だが、数値解析を行うための研究補助(大学院学生)に対する謝金などが必要となる。また、簡単な模型を作製することも考えている。
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Research Products
(1 results)