2013 Fiscal Year Annual Research Report
PCM入り銅フォームを利用した蒸暑地域の住宅におけるパッシブ冷房壁体の提案と評価
Project/Area Number |
23656346
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉野 博 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (30092373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 理恵 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (30466536)
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Keywords | 室内温熱環境 / パッシブ冷房 / 潜熱蓄熱体 / 壁体内通気 / 性能評価 |
Research Abstract |
本年度の成果は以下の通りである。 開発したPCM入り銅フォームパネルを適用した住宅模型実験をシミュレーションで再現しようとした際,既存のモデルでは十分な精度が得られなかったこと,また,開発パネルの最適設計を行うには,蓄放熱特性のシミュレーションによる検討が有効であることから,開発パネルの3次元伝熱解析プログラムを作成した。昨年度の実験で取得した基礎データと文献より,各材料の容積比率・熱伝導率・容積比熱・融解熱量を本プログラムに与え,パネルの片面温度をステップ変化させた実験について再現を試みた。その結果,予測した熱コンダクタンスは実験と良く一致したが,蓄熱量については大きく異なった。ただし,これは比較した実験データに問題がある可能性が高いと推定された。解析によるパラメトリックスタディーを行い,PCM材料だけのパネルでは,温度のステップ変化直後から単位時間当たりの蓄熱量が大きく減少していくのに対し,開発パネルでは,単位時間当たりの蓄熱量がPCMの融解終了までほぼ一定に維持されることや,パネル厚を増してもその特性が保たれるとの結果が得られた。 研究期間全体を通じて得られた成果は以下の通りである。 1.東南アジアの蒸暑地域の住宅を対象とした実態調査を行い,住宅全体の約40%を占める新様式の住宅において,室内の温度・湿度が高く,それを解消するためにエアコンの設定温度が低く設定されており,エネルギー消費量が大きくなっているという実態を明らかにした。 2.蒸暑地域における住宅の採涼手法として,PCMと夜間換気を組み合わせたパッシブ冷房システムを提案し,そのためのPCM入り銅フォームパネルの開発を行うとともに,住宅の縮小模型を使った実験によりその効果を確認した。 3.PCM入り銅フォームパネルの最適設計やそれを利用した住宅の温熱環境予測のための,3次元伝熱解析プログラムを作成した。
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