2011 Fiscal Year Research-status Report
ナノファイバーを利用した多孔質薄膜シート吸音材の創製
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23656347
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 英俊 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (40345393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤坂 修一 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (00501066)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 音・振動環境 / 吸音材料 / ナノファイバー |
Research Abstract |
本研究では、ナノファイバー積層シートの構造・物性と吸音特性の関係を解明することによって、ナノファイバー積層体からなる、新規な薄膜シート状の多孔質吸音材料の創製を目指した基礎研究を実施する。本年度は繊維径の異なるナノファイバー作製条件を確立し、積層シートの吸音特性の解明を試みた。(1) ナノファイバー積層シートの作製エレクトロスピニング法を用いてナノファイバー積層シートを作製した。紡糸液物性(粘度、電気伝導度)と紡糸条件(印加電圧、供給流速、Working Distance)の検討により、比較的均一な繊維径分布と繊維間空孔径分布を持つシートの作製条件を見出し、繊維径の異なる試料の作製法を確立した。(2) 吸音メカニズムの解明作製した試料の吸音特性(垂直入射吸音率)と理論モデル解析に必要な物性パラメータの評価を行った。吸音特性は明確な繊維径依存性を示し、特に繊維径が1.3μm以下の試料は、吸音率が周波数に対してピークを持つ特徴的な吸音挙動が得られた。繊維径が大きな試料は既存の多孔質材料に関する吸音モデル(Delany-Bazley式)を用いて吸音率の周波数依存性を説明することができたが、繊維径が1.3μm以下の試料には、既存モデルを適用することができなかった。これらの試料については、音波の入射によって繊維が振動した際のエネルギーロスが吸音に寄与すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、繊維径の異なるナノファイバー積層シートの作製方法を確立した。さらに作製した試料の評価からナノファイバー積層シートの吸音特性に明確な繊維径依存性があることを見出し、試料の作製と評価については概ね計画通りに進捗している。吸音メカニズムの解明については、特に繊維径の細い試料について吸音特性と物性の関係に未解明な部分があるため次年度以降引き続き検討を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の検討により、ナノファイバー積層シートでは繊維径の減少に伴って繊維の振動によるエネルギーロスが増加する可能性が示唆された。次年度は繊維径の細いナノファイバー積層シートの吸音メカニズムを繊維の力学特性に基づいて解明するために、本年度購入した走査プローブ顕微鏡のヤング率測定機能を用いて1本のナノファイバーの力学特性の評価を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ナノファイバーの原料となる試薬の購入、紡糸装置部品・音響評価部品購入のための消耗品費を予定している。また、本年度成果の学会発表のための国内旅費および海外旅費、海外の主要ジャーナルへの論文投稿のための論文英文校閲費を予定している。
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