2012 Fiscal Year Annual Research Report
ナノファイバーを利用した多孔質薄膜シート吸音材の創製
Project/Area Number |
23656347
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 英俊 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (40345393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤坂 修一 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (00501066)
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Keywords | 音・振動環境 / 吸音材料 / ナノファイバー |
Research Abstract |
本研究では、ナノファイバー積層シートの構造・物性と吸音特性の関係を解明することによって、ナノファイバー積層体からなる、新規な薄膜シート状の多孔質吸音材料の創製を目指した基礎研究を実施する。本年度は繊維径と吸音特性の関係を詳細に調べ、理論解析を用いた吸音メカニズムの解明を試みた。 (1) 繊維径と吸音特性の関係 エレクトロスピニング法を用いてナノファイバー積層シートを作製し、その構造因子・各種物性パラメータと吸音特性との関係を調べた。前年度までに、ナノファイバー積層シートでは、繊維径の減少に伴って吸音率が向上することを報告したが、この傾向は、ナノファイバー積層シートの構造変化(特に空孔径の減少)とそれに伴う空気流れ抵抗の増加と密接な相関を持つことを明らかにした。 (2) 理論解析による吸音メカニズムの解明 既存理論モデル(Delany-Bazley-Mikiモデル)を用いて、得られた空気流れ抵抗から、吸音率を算出した。繊維径が2μm以下の試料では吸音率の計算値は実験値と一致せず、実験値よりも低い値が得られた。このような差は、繊維径の減少に伴って、流れ抵抗が大きくなり、積層シートを構成する繊維自体の振動の影響が無視できなくなったために生じたと考えられる。検討の結果、繊維振動の影響を考慮した理論モデルを適用することによって、ナノファイバー積層シートの吸音率(実験値)を説明できることを明らかにした。
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