2012 Fiscal Year Annual Research Report
都市建築空間における認知ギャップとプレザントネスの関係に関する研究
Project/Area Number |
23656348
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
久野 覚 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (70153319)
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Keywords | 環境心理生理 / 視環境評価 / 季節差 |
Research Abstract |
24年度は、23年度夏から連続して行っていたトヨタホーム住宅展示場にあるモデルハウスでの被験者実験の春期実験を行った。これにより、四季がすべて揃った。アプローチの違いによる印象評価の違いはすべての季節において現れた。この傾向は外部との接触のある空間で顕著に見られた。また外部温熱環境の厳しい夏期と冬期の方がおだやかな秋期・春期よりも強く現れた。すなわち、住宅においては、光環境の変化によっても認知ギャップが生じるが、温熱環境の変化がさらにそれを強調することが分かった。 25年度は、実際の外部空間での被験者実験を行った。また、通常のビデオ撮影・スクリーン投影と魚眼レンズによる動画撮影・魚眼レンズによる3次元半球スクリーン投影の2種類で被験者実験を行った。同時に現場で採取した環境音を実験時に再生した。いずれも同じ評価場所であってもアプローチが2種類ある設定を行い、1箇所を除き3種の実験で同じ場所・アプローチを採用した。結果として、現場の実験から、主要な2因子は「開放性」「安定性」であり、両者の中間に快適性が布置され、当初の仮説をほぼ裏付ける結果となった。認知ギャップは、「開放性」「安定性」両方あるいはどちらか片方において出現した。平面スクリーンおよび3次元半球スクリーンでの実験の場合は、「安定性」因子における場所・アプローチの差が現場実験のようには広く分布しなかった。「開放性」因子では現場実験同様の場所・アプローチの差が出現した。これは、水平より上の情報に対して水平より下の情報がスクリーン投影では得られにくいことを示していると思われる。3次元スクリーンはかなり広い範囲をカバーしているのであるが、それでも直下の足元付近の情報が十分ではないと考えられる。 以上のように、現場実験においてはほぼ仮説通りの結果を得ることができるが、動画による実験ではやや制限があることが分かった。
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