2011 Fiscal Year Research-status Report
都市のグリーンインフラ整備における市民参加による自然再生型計画指標の研究
Project/Area Number |
23656355
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Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
櫻庭 晶子 筑波技術大学, 産業技術学部, 准教授 (10215692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古谷 勝則 千葉大学, 園芸学研究科, 准教授 (10238694)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 環境調和型都市基盤整備 / 都市計画 / 人間生活環境 / 建築計画 / 環境政策 |
Research Abstract |
本研究は、都市に残存する貴重な自然環境の保全手法の開発を指向しつつ、緑の基盤としてのグリーンインフラの評価及び分析を行い、市民参加による自然再生型の計画指標を提示することを目指している。本年度は、市民参加による緑地・公園の管理活動を推進するために、若者の緑地保全活動への参加要因を分析した。また、次年度の市民を対象とした意識調査に必要な機材を購入して、調査準備を進めた。 市民団体による緑地保全活動では、活動参加者の不足と参加者の高齢化が指摘されている。今後も持続的に活動を推進するためには、若者の参加が望まれている。そこで、本年度は、学生を対象に、質問紙調査から参加経験と参加意識を調査した。これら調査結果を基に、学生自身がグループディスカッションを行い、保全活動参加の問題・理想・対策を明らかにした。調査では、専門の異なる複数の学部学生を調査したが、農学系の学生とそれ以外の学生で参加意欲には大きな差はなかった。しかし、実際の参加経験には違いが見られた。参加理由としては、「自然が好きだから保全活動に興味をもった」という学生が多かった。保全活動に参加しない理由は、「時間が確保できないから」と「活動の情報が入手できないから」が多かった。また、交通費や参加費が少なく、単発で参加できる活動を希望する傾向があった。 次年度への準備として、アンケートの対象団体の調査を行った。茨城県つくばエクスプレス沿線で活動している緑地・公園の保全活動を実践している団体のリストを活用し、次年度は、緑地活動参加者を対象に居住地から緑地までの移動時間と移動手段などをアンケート調査する予定である。また、誘致圏内の土地利用の変遷を調査するために、茨城県つくばエクスプレス沿線の対象地域の開発の歴史的背景を調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
茨城県では東日本大震災による影響が大きく、調査の開始時期が大幅に遅れた。そこで、共同研究者のフィールドである千葉県で調査をすすめることとして、若者の緑地保全活動への参加要因を調査した。全体として、調査の進行がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、市民活動の参加距離を限定した上で、緑地の減少過程と管理活動団体の結成年の関係を明らかにし、さらには、再生型の計画指標への接近を目指す。1)市民活動の参加距離の推定:緑地・公園の保全活動を実践している団体の緑地活動参加者を対象に居住地から緑地までの移動時間と移動手段などをアンケート調査する。2)誘致圏内の土地利用の変遷:対象地域の開発の歴史的背景と緑地の推移を調査する。変遷の背景は、主要な地権者・行政へインタビューすることにより裏付けを取る。3)参加者の緑地に対する意識とその変化:管理活動参加者へのアンケートを実施する。参加者の生活背景や、居住地の緑地評価、管理活動緑地評価を調べる。4)緑地計画指標の立案:1)から3)を受けて市民参加による自然再生型の計画指標を提案する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
東日本大震災による影響で、茨城県内の調査の開始時期が大幅に遅れているので、茨城県内の調査分析を推進する。次年度使用額(1,332,096)が生じた状況は、以下の通りである。日常的な活動をしている緑地保全活動を中心に調査を進める予定であった。しかし、東日本大震災の影響で、ボランティア中心の緑地保全活動が一定期間休止状態に追い込まれた。そこで、緑地保全活動が再開してからアンケート調査を開始することとした。主にアンケート調査に使用する費用を次年度に使用することとした。次年度の予定を説明する。まず、6月に、市民活動の参加距離の推定アンケートと、参加者の緑地に対する意識とその変化の予備調調査を、10名程度実施する。この予備調査の結果から正式な調査シートを作成する。6月~7月には、土地利用の変遷を主要な地権者・行政へインタビューすることにより裏付けを取る。この調査から対象地域の開発の歴史的背景と緑地の推移を明らかにする。7月~8月は、・予備調査で完成した調査シートを使用して、10団体、合計200名程度を対象に実施する。9月~12月はアンケート解析と論文執筆、市民参加による自然再生型の計画指標を提案する。1月~3月は成果報告書を作成する。主な用途は、統計ソフト、植生図・地形図、アンケート調査費用、通信費、電子記録媒体、歴史資料購入費等である。
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