2012 Fiscal Year Research-status Report
都市のグリーンインフラ整備における市民参加による自然再生型計画指標の研究
Project/Area Number |
23656355
|
Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
櫻庭 晶子 筑波技術大学, 産業技術学部, 准教授 (10215692)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古谷 勝則 千葉大学, 園芸学研究科, 准教授 (10238694)
|
Keywords | 緑地 / 保全 / 市民 / 活動 |
Research Abstract |
都市に残存する貴重な自然環境の保全手法の開発を指向しつつ、緑の基盤としてのグリーンインフラの評価及び分析を行い、市民参加による自然再生型の計画指標を提示することを目的とする。具体的には、市民参加による緑地・公園の管理活動と緑地の変遷の関係を明らかにする。これまでの、量を重視した緑地計画では実際の市民参加による保全活動への動機付けには貢献していない。市民参加による緑地保全の動機付けとなる要因を明らかにすることにより、新たな再生型の計画指標の設定が可能となる。まずは、次の5点を明らかにする。1.緑地を対象にした市民活動に関する研究の変遷を検討、2.緑地保全活動参加に対する大学生の課題意識の解明、3.大学生の意識から見た緑地保全活動の参加促進課題と課題解決の優先順位の把握、4.一般市民の緑地保全活動の意識把握,5. 緑地計画指標を立案。 前述の研究目的で述べた研究を推進する。1.の目的では、日本における緑地を対象にした市民活動に関する既往研究の変遷をまとめた。2.と3.の目的では、次の3点の研究を推進した。(1)大学生を対象に「参加に関する問題点・理想・解決方法」をグループディスカッション(71名)で調査した。(2)次に, (1)で抽出された課題項目に対する一対比較調査(69名)を行った。(3)順序尺度による課題項目への意識を大学生にアンケート調査(311名)した。最後に,(1)から(3)の調査結果をもとに,課題解決の優先順位および参加経験や参加意欲の程度を基準に課題解決の方策を検討・整理した。4.の目的では、一般市民(1500名)を対象に緑地保全活動に対する意識を調査した。5.の目的では、1.から4.で得られた成果を元に、市民参加による自然再生型の計画指標を提示するための要因を検討する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、市民や学生を対象にした緑地保全活動の意識調査が研究の主要な部分を構成している。また、日常的な活動をしている緑地保全活動を調査している。しかし、東日本大震災の影響で、ボランティア中心の緑地保全活動が一定期間休止状態に追い込まれたため、市民への調査の開始時期が大幅に遅れた。 現在までの達成度を説明する。まず、日本国内の市民活動に関する既往研究に対象を絞り、論文情報ナビゲーター『Cinii』で検索した。以下の検索ワードを組み合わせて、研究論文を探した。研究対象、方法、目的といった項目を立ててデータベースを作成した。研究目的と研究の方法の変遷を明らかにした。これら成果を日本造園学会関東支部大会で発表した。さらに、大学生が持つ活動参加に対する課題意識と課題解決の優先順位から,課題解決の方策を整理した。若者が望んでいる参加促進における課題解決の手順は,(1)参加価値(2)活動条件(3)活動不安(4)身体負荷の順番であることが明らかになった。これら成果を、日本造園学会関東支部大会で発表し、ランドスケープ研究の査読論文に採用された。これら成果を受けて、社会人である10~80代の市民(1500名)を対象に緑地保全活動における意識調査をした。解析は現在進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
「9.研究実績の概要」で記載した1.から3.については、ほぼ研究が終了している。 4.一般市民の緑地保全活動の意識把握について今後の研究と、5. 緑地計画指標を立案について今後の推進方策を説明する。既に1500名の市民アンケートが終了しており、解析を進めている。解析量が多いため、平成25年度中に解析を終了予定である。これら成果は、建築学会計画系論文集と造園学会ランドスケープ研究、福祉のまちづくり学会に投稿予定である。研究を進めている過程で、参加に対する意識だけでなく、参加の阻害要因や参加時の問題点を把握する必要性が指摘された。そこで、平成25年度に再度、1000名程度の市民アンケートを実施予定である。これら成果をまとめることにより、市民参加による自然再生型の計画指標を提示するための要因を平成25年度中に検討する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大学生対象の研究は大幅に進捗したが、一般市民対象の解析及び研究論文執筆が残されている。また、新たに調査が必要な内容がでてきたので、再度、一般市民対象の大規模アンケートを予定している。研究費は主に、アンケート調査費用及び、資料収集費用にあてる。アンケート調査には、印刷費や郵送費、作業謝金などがみこまれる。自然再生型の計画指標を提示するための要因の検討では、有識者へのインタビュー調査経費が発生する可能性がある。 一般市民対象の解析及び新たに発生した追加の大規模調査が平成24年度中に終了しなかったため、次年度使用額(1,350,385円)が生じた。
|