2012 Fiscal Year Research-status Report
雨水浸透性緑溝の浸透性能の経年測定のための独自装置の開発と計測
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23656359
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
清水 裕之 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (30187463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 顕人 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (60396760)
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Keywords | 雨水浸透 / 緑溝 / 雨水流出測定装置 / 可搬型人工降雨装置 / 降雨イベント / 集中豪雨 / グリーンインフラストラクチャー / 流出 |
Research Abstract |
H24年度は名古屋大学構内、及び日進市内の敷地に設置した雨水流出測定器の観測を継続した。なお、名古屋大学構内の雨水流出測定器の一台には、インターロッキング式の浸透性被覆を設置し、その雨水流出特性の把握を試み、一方、日進市内の雨水流出測定器の一台には、保水剤を加えた土壌改良を行い、その流出特性を観測した。 しかし、すべての機材に設置している、小型満水型の電磁式流量計は、ごみなどには強いが、雨の降り始め、あるいは、急激に大量の雨が降ったときにおいて、満水状態を確保できない状況が発生し、正確な雨量が計測しにくいことが観測結果から確認された。このため、これまでの実験結果は、精度の意味で信頼性が低く、定性的な傾向しか把握できないことが判明した。特にいわゆるゲリラ豪雨における流出量の把握が測定器の特質上難しいことがわかった。この点で、非常に豊富なデータは把握されたものの、学会誌などへの報告をする信頼性が得られず、研究発表へいたることができなかった。しかし、この計測器を改良することは、本研究期間内では困難であり、別の研究方法を考えざるを得ない状況に至っている。つまり、自然降雨の計測は引き続き行うが、それはあくまでも定性的な傾向をつかむことに限定し、H24年度秋から、毎週1回、ある集中豪雨の10分間降雨記録を元に、それを簡便に人工的に再現するような降雨装置を設置し、10分ごとの平均降雨を人工的に定常流として流し、計測装置の満水状態を保ちながら、シミュレートすることにした。また、同時に土中湿度を計測している。3月時点までで半年のデータが蓄積され、同様の降雨状況においても、土中湿度や季節によって、流出特性が変化することが読みとれ、その結果を今後分析することで、草地の流出特性を把握することとする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
小型の流量計の特性で苦しんでいる。非満水型の小型流量計で適切なものがなく、また、カム式の流量計では、不純物が混じると計測がとまってしまうので、電磁式の流量計を使用したのであるが、自然降雨の不規則な流出に計測器がついてゆかないことがわかった。特に大量の降雨が不規則に起こる集中豪雨での流出を計測することが重要なのであるが、その状況での流量計の不安定さが著しく、十分に信頼できるデータの収集が困難であった。そこで、定常的な流出を確保できる人工降雨によるシミュレーションに変えて計測を継続している。このことで、学会等に発表できる十分な成果が得られていない。しかし、人工降雨実験では、きわめて特徴的な季節変動は土中湿度との連動性が把握され始めているので、1年間の計測を終えた後には正確な結果を示すことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、昨年度秋からはじめた人工降雨実験を後半年継続する。ただし、これは草地型の計測装置のみを扱う。それに対して、補足的にインターロッキングを敷設した装置でも同様の実験を行うこと、また、それらの実験とボアホール法による浸透実験を比較し、測定の客観性を確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年度であるので、結果のとりまとめに研究費を使用する。ただし、最後のチャンスなので、満水型の流量計の代わりに、転倒ます型の雨量計を流量計代わりに使用して、その効果を観測したい。ただし、土地の勾配、雨水の排出経路確保などで、その設置に条件があるので、その検討をおおなってからの設置を考えている。
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