2011 Fiscal Year Research-status Report
市民と専門家が協働する成熟社会に相応しい建築関連法制度の構築
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23656368
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
南 一誠 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (10407223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 順 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (80134477)
五十嵐 敬喜 法政大学, 法学部, 教授 (90277690)
日置 雅晴 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (80554055)
五條 渉 独立行政法人建築研究所, その他部局等, 研究員 (40355996)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 建築関連法制度 / 建築基準 / 性能規定化 / 既存建築物 / まちづくり条例 / 地区計画 / 復興住宅 / 景観 |
Research Abstract |
オーストラリア、ニュージーランド、カナダ及び米国を中心に、文献やインターネットを通じた資料の収集、各国の関係者へのインタビュー等を実施し、建築基準の内容及びその運用の方法について、性能規定化、新技術及び既存建築物の扱い、基準策定時のコンセンサス形成プロセスなどに着目した実態の把握、日本の現状との比較分析を行った。千葉市における高度地区実施に向けて、あるいは東京都、川崎市、西宮市、福山市におけるまちづくり条例制定に向けて、市民が勉強会等を行う上で、第三者的専門家による説明を踏まえて、議論の場を持つことにより、都市政策に対する専門家と市民の意識の異動を再認識するとともに、合理的な市民と専門家の関係性のあり方を探った。釜石市に2度(11月3-4日および2月18‐20日)訪問し、地元の住民や市の職員と、まちづくりの視点で意見交換を行った。対象地区は、主に唐丹町小白浜であり、東日本震災の津波被害に対する復興計画について、建築基準法39条による災害危険地域指定の具体的な実施にあたっての自治体としての考え方、被害者の復興住宅への要求の整理などの検討を行った。地方分権のためには市民の積極的なまちづくり計画への参画が不可欠であり、社会制度としてのふさわしいあり方も市街地であるか漁村であるか、またまちの大きさや密度によっても大きく変わってくることが考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
建築基準とその運用方法について、海外の対象国の状況の把握と、日本との比較分析を行った。専門家と市民の意見交換によるまちづくりに向けたコミュニケーションの実験的試みは行なえたが、研究内容を巡る研究会、報告会はさらなる取り組みの必要性を感じた。現状把握と地元住民との情報交換が中心となったこともあり、制度の提案の形にはなっていないが、復興まちづくりの視点で、建築の理念の実現に向けて市民と専門家の協調の状況を形成しつつある段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
既存建築物の活用促進、新技術の導入の円滑化等に資するとともに、市民や関係主体の参加によるコンセンサス形成を通じた基準の策定を可能とする日本の建築基準及び関連システムのあり方についての検討を行うとともに、それについて幅広く議論するための公開研究会を開催し、その成果を公開する。復興が具体的に進んで行く中で、小規模自治体の特性を生かした建築社会制度の提案を、市の行政、被災者の意見も交えながら、さまざまに検討したい。専門家としての将来像へ向けての提案が、市民にとってまちづくりを自分たちの問題とする契機となることが期待される。建築物としての安全の問題についても、自分たちによる意思決定の可能性をさぐって行きたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究内容を巡るシンポジウムを都内及び地方において実施し、その成果のアーカイブ化を行うための経費として使用する。上記を実施するため、平成23年度予算のうち、必要な金額を保留し、平成24年度に執行することにした。
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Research Products
(8 results)