2012 Fiscal Year Research-status Report
まちづくりにおける隣接地域間の相補的ネットワーク形成に関する実践的研究
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23656372
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Research Institution | Gifu National College of Technology |
Principal Investigator |
今田 太一郎 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (40300579)
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Keywords | 隣接地域間の相補的関係 / 間伐材活用 / 郡上市 / まちづくり |
Research Abstract |
昨年度は、プロダクトのデザイン、製作、活用を通して、本プロジェクトの担い手を発掘すること,間伐材の機能や特性を生かしたプロダクトの在り方について検討することを狙いとして、複数のまちづくりプロジェクトと連携し、間伐材を活用したプロダクトのデザイン、製作、活用を行った。連携を行ったプロジェクト及び,製作したプロダクトは、郡上八幡クラフト展のために、「木造簡易テント」を製作、活用。愛宕公園活用実験において、「木造ウッドデッキ兼ベンチ」、「木製ハンモックスタンド」、「木製ブックスタンド」の製作、活用および前述の「木造テント」の活用。郡上八幡の町家を活用した郡上八幡水の学校においては、小学校の廃材と間伐材の組み合わせによる「テーブル」の製作、活用の3プロジェクト、4プロダクトである。これらのまちづくり活動の担い手に対する意識調査や、活動への参加者のプロダクトの利用実態を見ると、これまで利用されてこなかった屋外イベントの空間形成や、人々の過ごし方を多様化する装置という新たな活用の仕方、あるいはそれに対応した形態、デザインの導入が、間伐材の活用分野を広げる上で重要であることが分かった。同時に本年度開発した、ポータブルな間伐材プロダクトを展開する上では、木材の重さや組み立て性、更には大型のプロダクトについては管理の問題等が存在することが把握された。また、間伐材活用の仕組みづくりに関して、今回はプロダクト毎に異なるデザイン、木材業者、製作者が関わることで、複数の製作ルートを形成した。開発するプロダクトの性質によって、製作方法を選択できること,小規模な企業が間伐材活用を担う為には、様々な状況に対応できる柔軟なネットワークを形成する必要があることを考慮すると、間伐材の製作ルートの複数化は、間伐材活用の仕組みづくりの次のステップに向けて重要であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の当初段階では、まず、間伐材活用に関して関心を持つ、各主体(林業従事者、製作者、デザイナー、まちづくり活動の主体)による組織を形成して,プロダクト製作に臨む予定であったが,初年度の調査において,林業従事社にとっては、経済的に即効性があるビジネスモデルに関心があること、デザイナーやまちづくり活動の主体は、それぞれ間伐材の活用について関心はあるが、具体的なイメージが描けないということが把握された為,むしろ、個別のまちづくりプロジェクトと連関した間伐材プロダクトの実験的開発と活用を試みる中で、プロダクトの製作に関わる各主体をプロジェクトに関係付けていくという方向に研究を展開させることとした。 新たな方向性に基づく昨年度の研究は、まちづくりと関係付けた具体的なプロダクト製作を前提とすることで、製作に関わる主体、まちづくりにおける活用に関わる主体のプロジェクトに対する理解を深めることができ、実際に複数のプロトタイプの製作を進めることができたことで総体としてはおおむね順調であったと考えている。 具体的には、プロダクトを製作、活用した各まちづくりプロジェクトにおいて、まちづくり活動の担い手,まちづくり参加者のヒアリング、観察調査から間伐材活用の可能性について手応えをえることができたこと。具体的な取り組みを通じて、製作者、デザイナー、まちづくりの活動主体の関心が引き出せたことで、一定の成果が得られたと考える。また、実践の中で、間伐材プロダクトの精度や木材の重量に起因する取り扱いの困難さ等の課題、まちづくりと関連させる上での管理手法の問題等の問題も明らかになった。今後、そうした技術的、システム的課題についても検討を行っていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、中心市街地のまちづくりと隣接する地域に産する間伐材の活用とを結びつける仕組みづくりを通して,隣接地域間の相補的な関係性構築の可能性について検討する狙いがある。 本年度は、昨年度に形成したプロダクトの製作ルート、およびプロダクトを土台にして間伐材活用の仕組みの全体像を構築することを試みる。具体的には3つのフェーズを設定して、研究を進める。 フェーズ1(間伐材プロダクトの洗練):昨年度までに行った間伐材プロダクトの製作、活用によって明らかになった技術的、作成したプロダクトのまちづくりの中での管理を含めたなシステム的問題について、検討を行い、再度製作、活用を行う。 フェーズ2(新たなプロダクト、製作ルートの開発・開拓):昨年度把握された、間伐材プロダクト展開の可能性を踏まえて、新たなプロダクトの開発及び製作に関わる新たな主体の巻き込みを図る。 フェーズ3(間伐材製作・活用のネットワーク化):製作した間伐材プロダクトの複数のまちづくり活動で活用、製作ルートの連携化を行うことで、現在は、プロダクト毎に個別に存在する間伐材活用の仕組みのネットワーク化を図る。 これら3つのフェーズを通して、今後の発展性を内包した間伐材活用の仕組みを構築していくことを通じて、中心市街地のまちづくり活動と周辺地域に位置する林業との関係化を図っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、昨年度までに形成したプロダクトの製作ルート(3ルート)および、プロダクト数(4プロダクト)の精度を高め,更にルート数、プロダクト数及び、作成数を増やして、製作する予定である。 具体的には、既存の4プロダクトについては、木造テントを5台、ハンモックスタンド(10台・5セット)、ブックスタンド10台、ウッドデッキ兼ベンチ10台の製作を予定している。更に、ポータレッジ、屋外使用用のテーブル・椅子他についても各5台程度製作を検討する。主にこれらの製作に100万円程度の支出を予定している。 以下、研究費の使用項目と使用金額について、以下の通り予定している。 プロジェクトに関わる各主体へのヒアリング、プロジェクトを活用したまちづくり活動の観察調査:20万円程度 本研究の成果についての学会発表2回(2名):20万円程度 新たに必要となった備品の購入:30万円程度
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Research Products
(2 results)