2011 Fiscal Year Research-status Report
繊維状ナノ構造金属の応用開発:熱光起電力発電用吸収体・エミッター
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23656382
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
梶田 信 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 准教授 (00455297)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 熱光起電力発電 / ヘリウム照射 / プラズマ / タングステン / ナノバブル |
Research Abstract |
直線型プラズマ模擬装置NAGDISにおいて,タングステンへのヘリウムプラズマ照射実験行いナノ構造を形成させ,その時の光学反射率(鏡面反射率)を計測するとともに試料からの赤外領域の輻射光の計測を行った。その結果,ナノ構造の形成に伴い,放射率が著しく増加していることが明らかになった。照射に伴い,実効的な放射率が2から3倍程度になっていることが明らかになった。ヘリウムイオンの照射なしでの加熱のみのアニーリング実験を行った。1400-1500 K程度に加熱を行うと,ナノ構造体の収縮が確認された。この温度はタングステンの融点が3700 Kであることを考えると極めて低い温度であるが,おそらくヘリウムバブルの移動が1400 K程度で著しく活性化するため,表面構造の変化が起こったものと考えられた。この結果から,耐熱性に関しては,1000 K程度まではよいものの,それ以上に温度に上げた場合には,十分な耐熱性が得られない可能性もあり,何らかの工夫が必要だと考えられる。アニーリング実験中の輻射スペクトルを計測したところ,ナノ構造体が若干収縮したときには,近赤外領域の輻射率の変化はないものの,赤外領域では著しく回復している様子が観測された。すなわち,太陽熱起電力発電に重要となる近赤外光を選択的に効率よく放射する材料となっている可能性があることが示唆される結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度は光学反射率(鏡面反射率)を計測するとともに試料からの赤外領域(1~5μm)の輻射光の計測を行うことを予定していた。さらに試料を取り出した後に,光の吸収率を詳細に計測することを考えていた。これらの点に関しては,実績の概要に示したように実験を行い,放射率の高い材料が創成できていること,更には,若干のアニーリングを実施した試料において近赤外領域が選択的に輻射率が高い材料が創成可能であることなどが明らかになった。この点において,計画したとおり概ね順調に進展してきていると考えている。また,24年度に実験を予定していた耐熱性の試験に関しても若干の進展が見られており,この点においては,計画以上の進展と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度においては,真空容器内に設置された加熱ステージで照射された試料の繰り返し加熱実験を行う。照射後の電子顕微鏡観察を行うとともに,反射率の計測を行い,耐熱性がどの程度あるかを明らかにする。23年度において,高温1400 K程度においては耐熱性が得られないことが明らかになってきた。その点において,上限の温度を明確にするとともに,高温においても耐熱性が得られる環境を模索したいと考えている。例えば,雰囲気ガスとしてヘリウムを充填し加熱試験を行う。材料表面に熱電離でヘリウムプラズマが生成され,耐熱性が変化する可能性があると考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画通り,加熱ステージ及び加熱用電源の購入を考えている。また,加熱ステージ用の,冷却用チラーを購入することを考えている。
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Research Products
(7 results)