2011 Fiscal Year Research-status Report
薄膜技術と蛋白質結晶化技術の融合による規則配列磁性ナノ粒子の創製
Project/Area Number |
23656385
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
白土 優 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (70379121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中谷 亮一 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60314374)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 磁性ナノ粒子 / 蛋白質 / 超常磁性 / 結晶化 / 薄膜 |
Research Abstract |
本研究では,蛋白質の球殻構造,結晶化機能を薄膜作製技術に応用することで,3次元的に規則配列した磁性ナノ粒子の創製を目指している。目的達成のための研究プロセスとして,今年度は,蛋白質の球殻構造中への磁性ナノ粒子の還元合成に関する検討を行った.特に,蛋白質として高耐熱性を有するPyrococcus furiosus virus-like Particle (PfV)を用いて,PfV中へのCo-Ptナノ粒子の合成について検討した.還元温度を60℃,Co/Pt導入比を3/1とした場合に,PfV内へのCo-Ptナノ粒子の合成が確認された.また,還元後の精製条件を変更することで,未反応のCo, Ptおよび,PfV外部に形成されたCo-Ptナノ粒子との分離精製に成功した.また,磁気測定の結果,合成されたCo-Ptナノ粒子は,室温で超常磁性を示し,超常磁性を特徴づけるブロッキング温度は,約18 Kであることが分かった.これらの結果は,2012年春日本金属学会学術講演会(2012年3月開催)で講演を行っており,現在,論文投稿に向けて準備を進めている.また,平成23年度の結果から,Co-Ptナノ粒子の合成・精製にともなって,PfVの凝集が生じることが明らかになり,蛋白質の結晶化を目指した次の段階として,PfVそのものの高純度化,大量生成が必要であることも明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の平成23年度計画では,PfV中への磁性ナノ粒子の合成を目標とした.本研究では,磁性体としてCo-Pt合金を用いて,PfV中へのCo-Ptナノ粒子の合成を行った.パラメータとして,Co-Pt合金作製時の還元温度,還元雰囲気,還元時の超音波照射,Co/Ptイオンの導入比について検討を行い,上記パラメータを最適化することで,PfV中へのCo-Ptナノ粒子の合成が確認された.また,作製された試料を,遠心分離,フェニルゲル精製等によって生成することで,PfVの内部に合成されたPfVおよび,Co-Ptと結合したPfVのみを精製することが出来ることが分かった.作製した試料に対して磁気測定を行った結果,Co-Ptナノ粒子は室温で超常磁性を示すことが分かった.以上の結果から,PfVへの磁性ナノ粒子の合成,磁気測定による磁気特性評価を完了しており,当初の予定通りに実験は遂行されていると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
上記のとおり,磁性ナノ粒子の合成は完了している.得られた結果から,作製した磁性ナノ粒子の生成段階で,PfVが凝集し,その結果,PfVの結晶化が阻害されていることも同時に明らかになった.これらの結果を基に,本研究の最終段階である規則配列した磁性ナノ粒子の合成には,PfVの高純度化が必須であることを見出しており,平成24年度は,PfVの高純度化,大量合成についてPfVの合成条件を再度見直すこと,PfVを構成する蛋白質のアミノ酸配列を再検討することで,磁性ナノ粒子の還元合成後も高い純度を維持できるPfVの合成を試みる.また,磁性ナノ粒子の合成条件の最適化を行うことを目的として,Co-Pt導入量の最適化等について検討する.なお、平成23年度経費の内、約14万円を平成24年度に使用する。これは、研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったことによるが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
PfVの合成,Co-Ptナノ粒子の合成として,各種試薬,雰囲気制御ガス,超音波洗浄機などの小型機器,蛋白質の結晶化のための研究として,単結晶基板,結晶化用試薬,磁気測定用として,真空制御用小型機器,試料ホルダ,参照用磁性試料などを予定している.旅費として,前年度に得られた結果を国際会議,国内学会・研究会で発表,情報収集のための旅費を予定している.また,論文発表のための英文校閲人件費,各種磁気測定用ホルダ作製のための工作費(用務費)の支出を予定している.
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Research Products
(1 results)