2011 Fiscal Year Research-status Report
バンドオフセットモジュレーション型高性能透明導電性薄膜の作製
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23656386
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
有田 誠 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30284540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生駒 嘉史 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90315119)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 透明導電膜 / 酸化亜鉛 / 薄膜 |
Research Abstract |
キャリア生成層・移動層それぞれに最も適した成膜条件を探りながら多元RFスパッタリングにより薄膜を形成し、界面におけるバンド構造を走査型プローブ顕微鏡の一種であるKFM(Kelvin Force Microscope)を用いて解析した。 まず、ガラス基板上に堆積した上記多層構造および2層構造を斜め研磨したサンプルについてKFMによるイメージングを試みたが、設計した構造から斜め研磨面上で予想されるイメージを安定して得ることが出来なかった。次に、ZnO(ノンドープ) /Zn0.8Mg0.2O(Al2O3_2wt%)2層構造において上層を試料面積の半面のみ堆積させたサンプルにおい下層/基板境界上に上層が堆積した部位を観察した結果、形状像において下層のエッヂに対応すると思われる段差が確認され、これに対応して表面電位のコントラスト差が得られた。上層が同じ物質であっても異なる表面電位が観察されたことより、この試料に関しては下層の状態が反映されていることが示唆される。ZnOの電子親和力については約4.2eVと報告されている。また、実験で使用したKFMプローブは最表面にPtIrコート(Ir 5%)が施されており、その仕事関数は約5.65eVと考えられる。 ZnOはノンドープであってもある程度のn型伝導を示すことから、フェルミ準位は伝導帯の直下に存在すると仮定した場合、KFMプローブとの仕事関数差は単純な計算では1eV以上になるが、本測定においては表面電位の絶対値としてこれに近い値は観測されなかった。これに関しては界面準位の影響などさらなる調査が必要と考えられる。 SPMによる電子状態評価と並行して、ZnO薄膜のキャリア密度および移動度に対するRF出力の影響について調査した。キャリア密度についてはRF出力70W付近にて、一方、移動度はRF出力90W以上で良好な結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
界面付近の分析のためにななめ研磨試料を使用したが、層構造の断面に乱れが生じており、この手法による分析が困難であると判断した。そのため、厚さの異なる上層を持つ二層構造を形成し、その重なり領域の分析を行うことにより、現在特性評価を続けている。
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Strategy for Future Research Activity |
2層構造の特性評価から得られた情報を用いて最適なキャリア生成・移動領域の厚さ、周期数をデザインしたうえで多層構造の成膜を行う。キャリア生成層は十分なオフセットおよびキャリア量を供給する条件で薄く、移動層については移動度が高く且つキャリア濃度が十分な範囲の厚さで多層構造を構築することが高性能導電膜を得るための指針と考えられる。得られたデータを蓄積するとともに、その解析結果、およびシミュレーションによる知見をフィードバックしながら「ドーパントの種類とドーピング量」、「キャリア生成領域の厚さ」、「キャリア移動領域の厚さ」等の鍵となるパラメータを変えて薄膜堆積実験を繰り返し、より高性能な透明電導膜を得るための条件を追求する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
成膜実験ではいくつかのパラメータを変化させて数多くの試料薄膜を堆積させ、作製した試料をその都度分析試験するというサイクルをとる。その過程の中でターゲット用酸化物粉末と高純度スパッタリングガス、および薄膜を堆積させる基板が必要となる。なお、薄膜の光学特性を詳細に把握するためには、試料基板には紫外から近赤外まで透過率に優れた石英板を使用する。薄膜の電子構造解析には走査型プローブ顕微鏡を使用する。各装置の使用料およびSPMカンチレバー等の付随する消耗品が必要となる。また、超高真空装置の運転・維持には常にメンテナンスが必要で、配管部材・銅ガスケットなどの各種真空部品が必須である。
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Research Products
(1 results)