2011 Fiscal Year Research-status Report
金ナノロッドのレーザー光励起過程の超高圧電子顕微鏡その場解析の展開
Project/Area Number |
23656387
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松村 晶 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60150520)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 超高圧電子顕微鏡 / 光励起過程 / その場観察 / 金ナノロッド |
Research Abstract |
本研究では、パルスレーザー光照射機能を有する超高圧電子顕微鏡(HVEM)を用いて、レーザー光照射下での金属ナノ粒子の状態とその変化をその場観察を可能にする装置改良と実験技術の開発を進める。その成果を基に、可視光域ならびに近赤外域で集光素子として期待されている金ナノロッドのレーザー光(波長λ=1064, 532 nm)照射下の動的挙動のその場観察を進め、その励起過程と挙動を支配する因子を明らかにすることを目的としている。まず、超高圧電子顕微鏡内の観察試料に対して照射光の強度が10 mW/mm2レベルになるように、減光フィルターを挿入するとともに光学系を変更することによって照射領域の拡大をはかった。加えて、PINフォトダイオード素子を電子顕微鏡ホルダーに挿入した測定子により、電子顕微鏡内での光強度分布を測定して、観察領域の照射強度分布の定量化を行った。その結果、その場観察でのレーザー光照射条件を明確化することが可能になった。上記レベルの強度のレーザー光照射条件では、炭素薄膜(商品名Quantifoil)が分解能低下が少なく、試料支持膜として適当であることも判明した。このような準備を終えた後に、実際に金ナノロッドに対して波長λ=1064 nmの近赤外光を電子顕微鏡内で照射し、それぞれの形態変化を時間の関数として測定した。その結果、レーザー光照射によって金ナノロッドの形態変化が誘起されるには、0.8 mW/mm2以上の強度が必要であり、それより低い強度では形態は変化しないことが明らかになった。また、形態は照射初期に大きく変化し、その後徐々に球形に近づくことも明らかになった。レーザー光を照射しない単純な加熱実験では、金ナノロッド(長軸 50 nm, 短軸 10 nm)は523 K以上の加熱によって形態が球形へ変化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、まず超高圧電子顕微鏡内に適切な強度のレーザー光を導入する実験条件を確立することを第一の目的とし、それはほぼ達成できて、実際に金ナノロッドの照射挙動のその場観察を進めることができ、当初に計画した内容はすべて終えることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度にレーザー光照射条件が確立したため、これを基に様々な条件での実験を行う。特に、ナノロッドの方位依存性、レーザー光の偏光依存性、基盤温度の3点を主要なパラメーターとして、光励起挙動を実験的に明らかにする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主として実験に使用する消耗品と研究成果報告のための旅費、ならびに超高圧電子顕微鏡の使用料にあてる。
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Research Products
(3 results)