2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23656394
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
鵜沼 英郎 山形大学, 理工学研究科, 教授 (30273303)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 骨誘導再生 / 細胞培養 / 骨芽細胞 / 歯根膜細胞 |
Research Abstract |
本研究は、PETシートを基材としてそれにゼラチンとリン酸カルシウムをコートして生体の組織再生を促進する機能を付与した材料(以下PETメンブレンと表記)について、これを骨誘導再生用のメンブレンとして応用することを念頭に置き、その細胞応答性の調査および動物実験による有効性の調査を行うことを目的としている。 今年度は、細胞培養試験を通して、組織再生促進効果を説明する基礎データの取得を目的として、骨芽細胞以外の細胞(破骨細胞、間葉系幹細胞など)の培養を行う予定であった。 細胞培養については、計画をやや変更して、繊維芽細胞系細胞であるヒト歯根膜細胞の培養を行った。これは培養に供するサンプルの調製に不具合が発覚したためと、細胞株の入手がうまくいかなかった事情による。しかし、歯根膜細胞の培養試験を通じて、さらなる治癒機序を支持する知見が得られた。 本PETメンブレンにおいては、骨芽細胞はリン酸カルシウム層側で非常に早期に増殖と分化をし、PET側ではほとんど接着しないことがわかった。それに対して歯根膜細胞の場合には、PET側では急速に増殖する反面、リン酸カルシウム側では約7日の休眠期間を示すことが明らかになった。このことは、リン酸カルシウム層が、骨形成に必要な骨芽細胞の活動を促すとともに繊維芽細胞系の過増殖を抑えること、同時にPET側では繊維芽細胞の迅速な接着によって、雑菌の侵入をシールし、感染症の発生の防止に寄与していることが考えられた。 また、ミニブタを用いた動物実験も一部開始した。しかし、PETメンブレンの治癒促進効果が想定よりも大きかったため、実験部摘出時にはほぼ治癒が完了していたこともあり、次年度の計画を実行する際の予備的知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は、23年度に細胞培養、24年度に動物実験を行う計画であった。細胞培養は、上記のような理由で進行がやや遅れている。しかし、予備的な動物実験を前倒しで行うことができたので、24年度終了時までには当初の計画通りの研究が進展すると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞培養はさらに継続して実施する。特に歯根膜細胞と血管内皮細胞を用いて研究を進める。動物実験については、昨年度の予備実験の結果を踏まえ、飼育期間をより短縮するなどして継続して研究する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
動物実験のデータ整理等に係る人件費、試料作製に要する消耗品費、成果発表に必要な学会発表旅費等に使用する。
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Research Products
(6 results)