2012 Fiscal Year Annual Research Report
ナノプローブを用いたS/TEM内インターカレーション過程その場観察の試み
Project/Area Number |
23656398
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
武藤 俊介 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20209985)
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Keywords | リチウムイオン二次電池 / 正極活物質 / 透過電子顕微鏡 / 電子エネルギー損失分光 / 可視化 |
Research Abstract |
リチウム化合物は大気中で特に酸素及び水分によって変質しやすいため,本助成金によって電極からFIBによる薄膜加工およびTEM内への装着において大気に曝露することなく転送できるグルーブボックス及びTEM試料ホルダーの開発を前年度に行った.これによって一連の転送過程においてリチウム電極取り扱いに必要な酸素分圧・露点の目標値を達成した. 24年度には,このシステムを用いて,高温安定性に優れており,かつ資源として豊富な鉄を成分とする点で注目されているLiFePO4(LFPO)活物質に注目した.本物質を正極として用いたときの充放電履歴についていくつかのモデルが提案されていた.我々は収差補正器搭載走査透過型電子顕微鏡(STEM)-電子エネルギー損失分光(EELS)による測定を行い,100%充電状態からリチウムを50%挿入した活物質粒子では外側がLFPO相,内側がFPO(FePO4)相,逆に完全放電状態からリチウムを50%引き抜いた状態では外側がFPO,内側がLFPO相であるコアシェル構造になっていることを明らかにした.これによって本電極の履歴現象が説明できると共に,従来支持されてきた充放電過程のドミノカスケードモデルに修正が必要であることを示した. 以上で開発された一連の分析手法は,今後そのままリチウム分布のイメージングに応用することができ,特にTEM内充放電過程を観察するのに適した全固体リチウム電池に対して適用していくことが今後の課題となる.
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Research Products
(7 results)