2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23656404
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
森 茂生 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20251613)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 磁性材料 / 透過型電子顕微鏡 / ナノ構造 / 電子回折 / スピネル構造 |
Research Abstract |
本研究では、擬スピノーダル分解により形成されるナノ組織構造を利用して、磁性遷移金属元素のd電子軌道自由度を制御するという新しいナノ構造制御法の提案を行うとともに、大きな結晶磁気異方性を有する磁性材料の開発を行うことを目的としている。本年度は、スピネル型磁性酸化物CoFe2O4に注目し、Feの一部をMnで置換することにより、ナノスケールで特徴的なチャッカーボード型パターンをもつ磁性酸化物を作製し、磁気特性およびチャッカーボード型パターンの形成過程や磁気的微細構造に関して透過型電子顕微鏡を用いて研究を行った。(1)多結晶試料Co0.6Fe0.9Mn1.5O3を用いて、375℃で0 , 0.5 , 1 , 3 , 10 , 80 , 340, 730 , 1000 , 1500 時間の熱処理を施した試料を作製し、チャッカーボード型パターンの形成過程と磁気特性の相関について調べた。10時間~730時間の熱処理により、約10nmから50nm程度のサイズから成る非磁性相と磁性相から成るチャッカーボード型パターンが形成されることが見出された。(2)磁気特性の評価により、チャッカーボード型パターンのサイズが大きくなるとともに保持力が増加することが明らかとなった。また、磁気転移温度も400℃から700℃まで上昇することが明らかとなった。(3)375℃で1000時間以上熱処理を施すと、チャッカーボード型パターンが崩壊し、ラメラ状に双晶構造が出現することがわかった。ラメラ状に双晶構造の出現に伴い、保持力が減少し、残留磁化の大きさも減少することが見出された。(4) CoFe2O4- CoMn2O4系の相図を作製することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スピネル型磁性酸化物CoFe2O4のFeの一部をMnで置換したCo(Fe,Mn)2O4系のナノ構造と磁気特性の相関を明らかにできた。また、CoFe2O4- CoMn2O4系の相図を作製することが出来、ほぼ予定通りに研究は進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
CoMn2O4/CoFe2O4系スピネル化合物を用いて、最も高い保持力を持つ試料を用いて、チェッカーボード型ナノ構造の秩序形成過程を透過型電子顕微鏡およびローレンツ電子顕微鏡によるその場観察技術を用いて明らかにしていく。特に、ローレンツ電子顕微鏡は、磁気的な微細構造観察が可能であることから、非磁性相と磁性相を磁気的微細構造として識別が可能であり、磁気ドメインの核生成・成長過程の直接観察を試みる。これにより高保持力を生み出すメカニズムについての知見を得る
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
日本物理学会、日本セラミックス協会、およびMRS学会での研究成果の発表を計画している。また、原材料費、電顕フィルムなどの消耗品を購入する。
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