2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23656405
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
林 晃敏 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10364027)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | イオン伝導体 / 柔粘性結晶 / リチウム電池 / 全固体電池 |
Research Abstract |
イオン性柔粘性結晶は、優れた成形性、難燃性、高イオン伝導性を有することから、全固体電池における良好な固体接触界面あるいは電極-電解質界面の構築への応用が期待できる。本年度はまず、N,N-エチルメチルピロリジニウムビストリフルオロメタンスルホニルアミド(以下、P12TFSA)をベースとした柔粘性結晶を作製した。P12TFSAを電解質として、リチウム金属対称セルを作製した。このセルに対して、40℃でインピーダンス測定と定電流サイクル測定を行った。P12TFSAはリチウムイオンを含んでいないにも関わらず、繰り返しリチウムの析出・溶解を行えることがわかった。またこのセルと同じ構成のセルを40℃で保持すると、セル抵抗の低減が見られた。長時間保持後の電解質に対してICP測定を行うとLiの存在が確認された。よって、P12TFSAをリチウム金属と接触させて40℃で保持することで、P12TFSA中にリチウムがドープされ、得られた電解質はリチウムイオン伝導性を有することが示唆された。また、P12TFSAの成形性を生かして、酸化物固体電解質Li1.4Al0.4Ti1.6(PO4)3(以下、LATP)粉末との複合化による粒界抵抗の低減を検討した。コールドプレスによって得たLATPのみの粉末成型体は、大きな粒界抵抗のために導電率が測定できなかった。一方、LATPとLiTFSA-P12TFSAを重量比3:2で混合して得た複合体の粉末成型体は40℃で10-4 S/cmの導電率を示すことがわかった。この複合体についてSEM観察を行うと、P12TFSAがLATP粒子間の粒界を埋めている様子が確認され、粉末成形体内で良好な固体界面接触が得られていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
柔粘性結晶の合成と評価手法についてはほぼ確立した。また柔粘性結晶は、究極の負極材料と考えられているリチウム金属電極との間で良好な界面接合が得られることも明らかにした。今後、柔粘性結晶を用いた全固体電池を構築する上で。重要な知見が得られたと考えている。また酸化物電解質との複合化については、計画を前倒しして取り組んだ。よって、研究はおおむね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した柔粘性結晶を実際に全固体リチウム電池へ適用し、二次電池としての特性評価を行う。また電極-電解質界面で生じる電気化学反応や構造変化について、様々な分光法を用いて調べる。また新規なイオン伝導体として、リチウムイオン以外のイオンが伝導する柔粘性結晶の作製を行う。イオンサイズや価数による柔粘性結晶の物性や構造を評価し、全固体電池用電解質としての可能性について調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
柔粘性結晶を合成するための試薬や器具、また電解質を評価するための消耗物品を購入する。また研究成果については、速やかに学会発表や論文発表を行うことを計画しているため、そのための旅費や学会登録費、論文投稿費に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)