2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23656406
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
安盛 敦雄 東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (40182349)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 誘導加熱 / PTC特性 / 磁気発熱 / フェライト / ガラス |
Research Abstract |
本研究は、発熱相であるフェライト系磁性半導体およびPTC電気伝導特性を示すチタン酸バリウム系半導体微粒子を、ケイ酸塩系ガラス母体中に制御して分散させることにより、磁性半導体-自己温度制御材複合組織を有する発熱材料を作製し、外部高周波磁界により発熱し、かつ加温部分の温度が必要温度範囲で自己制御できる材料への応用に対する基礎的知見を得ることを目的としている。平成23年度は次の3項目:(1)高磁化・低保磁力が期待できるZnO-MnO2-Fe3O4系フェライト(ZMF)の固相反応法による作製と磁気・電気伝導特性の評価、(2)ZMFの高周波磁場下での磁気発熱特性の評価、(3)PTC電気伝導性を示すCeドープBaTiO3(BT)の固相反応法による作製と電気伝導特性の評価、について研究を進め、以下の結果が得られた。(1) 固相反応法によりZMF微粒子および焼成ペレットを作製した。得られた試料について、粉末X線回折測定によりスピネル相の析出が確認され、磁気および電気伝導測定により強磁性挙動および電気伝導を示すことがわかった。(2) ZMF試料を再度粉砕し、キャピラリーガラスに充填、焼成し、ワイヤ状試料を得た。この試料を疑似生体材料に挿入し、高周波磁場を印加して生じた温度分布を熱画像測定装置を用いて調査した結果、試料から30 mm離れた位置までの疑似生体材料の温度が、治療必要温度である43℃以上まで上昇することがわかった。(3) BT単相の粒子および焼成ペレットが得られたがCe添加による格子の変化等は確認できなかった。焼成ペレットについて電気伝導の温度依存性を測定した結果、PTC特性、通常の温度依存性、絶縁性をそれぞれ示す試料が得られた。しかし、これらの電気伝導特性の再現性の制御までは至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の目標であるフェライト、PTC半導体の作製と、高周波磁界中での試料の発熱特性の評価手法の確立は達成できた。しかし、フェライトの磁化特性、PTC半導体の電気伝導特性の再現性については、さらに改善する必要が認められた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、当初の予定通り以下の3項目について研究を進め、研究を総括する。(1) フェライト・PTC半導体微粒子-ガラス複合化のための適切なガラス組成の探索(2) フェライト・PTC半導体微粒子とガラスフリットの混合・成形・熱処理によるバルク体の作製(3) フェライト・PTC半導体微粒子-ガラス複合体の電気、磁気、磁気発熱特性の評価
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は、学会発表に至らず旅費としての使用はなく、また装置類が順調に稼働したため、修理等も使用せず、すべて物品費(備品を含む)として使用した。そのため僅かに次年度使用助成金が生じた。平成24年度は、予定通り物品費(発熱体や薬品等の消耗品)と学会発表のための旅費として、助成金を使用することを計画している。
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