2012 Fiscal Year Annual Research Report
単層カーボンナノチューブのみで構成される薄膜/バルク界面構造での熱起電力の探索
Project/Area Number |
23656419
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 義倫 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (30374995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田路 和幸 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (10175474)
高橋 英志 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (90312652)
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Keywords | ① ナノチューブ・フラーレン / 太陽光発電 / 光物性 / 表面・界面物性 / 熱工学 |
Research Abstract |
透過率の異なる単一のSWCNT薄膜(SWCNTの吸収波長である1800 nmでの透過率が65.5、39.2、25.0、15.4、9.01%)に対して、領域10×10 mm2の片寄った光照射(100 mW/cm2の太陽光シミュレーター)を行うと起電力が発生し、透過率が低くなるにつれて、その光起電力が大きくなった(0.80 mV)。また電流-電圧(I-V)特性を調べると、線形性を示し、キャリヤがオームの法則に従うことが分かった。このことから、SWCNTが吸収した光が熱に変換され、薄膜の両端で温度差が生じ、熱起電力の機構で起電力が発生していることが示唆された。さらに、15.4%以下の透過率では発生する起電力は飽和していた。この原因は膜厚が厚くなっても、吸収できる光量は一定であり、その熱変換も一定であるからと言える。 バルク膜の厚さを変化させ、SWCNT薄膜(透過率9.01%)/バルク膜(透過率2.30%)界面構造のバルク側に光照射すると、単一膜セルより大きい起電力0.90 mVが発生した。ゼーベック係数は+66.4 μV/Kと見積もられ、符号からSWCNTのキャリヤは正孔であることがわかった。また、I-V特性は線形を示し、薄膜/バルク界面はショットキー接合界面ではなく、オーミック接合界面であることがわかった。これより、SWCNT薄膜/バルク界面構造は主に光吸収が熱に変換した「熱起電力」が発生していると言える。薄膜/バルク界面では、キャリヤはホッピング伝導で流れるが、フォノンは界面で熱抵抗が大きく、流れにくくなっており、バルク膜での光吸収が熱に変換し、高温となることで薄膜部分との温度差が大きくなり、起電力も大きくなると考えられる。この成果により、平成24年度資源素材学会東北支部春季大会でポスター賞、平成24年度 石田(實)記念財団研究奨励賞を受賞しており、現在論文投稿中である。
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Research Products
(6 results)