2012 Fiscal Year Research-status Report
金属溶湯中で生じるデアロイング現象を利用した新規ポーラス金属作製技術の確立と応用
Project/Area Number |
23656422
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 秀実 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (80323096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯葢 邦夫 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (00302208)
和田 武 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (10431602)
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Keywords | ポーラス金属 / デアロイング |
Research Abstract |
ナノポーラス金属が発現する新規な特性が注目され、その作製法であるデアロイングの研究が活発になっている。これまでこの方法によってAu, Pt, Ru, Pd, Ni, Cu等の貴金属においてポーラス体が作製されている。一方、FeやCr等の卑金属においてもナノポーラス化することによって新規特性を付与できる可能性があるが、卑金属は水溶液中で酸化されてしまうためポーラス化が困難であった。そこで金属溶湯中でのデアロイングによりFeやCrおよびその合金系においてナノ/マイクロポーラスの作製を試みた。二元系平衡状態図に示されるように、NiはMg液体に溶けるが、FeとCrはMg液体にほとんど溶けないため、(Fe,Cr)30Ni70前駆合金からNiのMg液体への選択的溶出(デアロイング)が起こり、(Fe, Cr)のポーラス体が得られた。ポアサイズは数百nm~数μmの範囲にあり、すべての試料において共連続構造体が形成した。ポーラス構造粗大化の時間および温度依存性を調べた結果、金属溶湯中でのポーラス構造の形成メカニズムには水溶液デアロイングと同様に、表面拡散が関与していることが示唆された。 医療用ステントなどへ実用化されているTiNi合金からの脱Ni処理においては、脱成分浴組成を工夫することによって表面積を増大させることなく最表面から数ミクロンの深さまで、Ni濃度を2at%程度と大幅に低下させた。脱Ni試料に気相処理によりTiC1-xOxおよびアナターゼ被覆を行うことで、Niイオンの溶出を未処理材の1/6にまで低下させることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ti以外に、Fe,Crおよびこれらの合金であるステンレスのポーラス体を作製し、それらの機能性を評価した。また、、チタンニッケル合金、Ti-6Al-4V合金に対して金属溶湯デアロイング法を適用し、これらの合金表面からのNiやAl等の毒元素の脱成分や部分オープンポーラス化を試み、表面処理技術としての金属溶湯デアロイングの応用への研究を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに多くの元素・合金系のポーラス化を試みる。たとえば、WやAlの他、Ni-Cr合金、Ti-Nb系形状記憶合金である。これらを用いたコンデンサーの試作、触媒・電池電極への検討を合わせて行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額とあわせ、次年度に計画 している研究の遂行に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)