2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23656427
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
宮武 健治 山梨大学, クリーンエネルギー研究センター, 教授 (50277761)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 燃料電池 / 超強酸 / プロトン伝導 / 電解質膜 |
Research Abstract |
今年度は主鎖構造が異なる超強酸ポリエーテル高分子の合成と構造・基礎物性解析を中心に行った。特に、主鎖構造やブロック共重合構造・組成などがプロトン導電率や含水率などの各種電解質特性に及ぼす効果について検討した。ヨード化モノマーとデカフルオロビフェニルまたはビス(4-フルオロフェニル)スルホン、4,4’-ジフルオロベンゾフェノンを求核置換反応により重合し、重合体を得た。親水部・疎水部となるオリゴマーをそれぞれ合成し、これらを重合させることによりブロック共重合体を得た。得られたポリマーとテトラフルオロ-2-(テトラフルオロ-2-ヨードエトキシ)エタンスルホン酸カリウムをUllmann反応させて超強酸基を導入し、パーフルオロスルホン酸基を有するポリエーテル電解質(FSPE)膜を合成した。反応条件を検討することにより、高収率で超強酸基を導入できた。FSPE膜は超強酸基を含まないSPE膜に比べて若干高い含水率を示した。特に、ブロック共重合体でその傾向が認められた。FSPE膜はSPE膜よりも高いプロトン導電率を示し、その差は低湿度で顕著となった。とりわけFSPE-1a (IEC= 1.40meq/g)膜が最も高い導電率を示した。FSPE-bl-1c(IEC=1.15meq/g)はFSPE-1b (IEC=1.32meq/g)に比べて低いIECでもほぼ同程度のプロトン導電性を示しており、ブロック化により導電率が向上することを確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していた超強酸基の局所密度を高めたブロック共重合体の合成、結晶性と相分離構造の制御(イオンチャンネルの形成)はほぼ達成できた。また、物性解析として予定していた核磁気共鳴(1H, 13C, 19F)、赤外吸収スペクトル、分子量・粘度測定、イオン交換容量はほぼ測定できている。超強酸基導入量や共重合組成を変化させながら、電解質の熱物性(ガラス転移温度、融点、分解温度)、含水率、引張破断強度・クリープ変形試験、ガス透過率を我々独自の方法で測定し、既存電解質膜との比較もできている。親水場サイズを制御するための溶媒効果など次年度に計画していた一部の項目についても、本年度に実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に合成した電解質膜の表面構造(走査型電子顕微鏡)、親水部と疎水部の相分離構造(透過型電子顕微鏡、原子間力顕微鏡)、疎水場の結晶構造(広角X線回折)と親水クラスター径とその分布(小角X線散乱)を測定し、超強酸基導入量や共重合組成との相関を解析する。芳香族部位の長さ: 1~30 nm、イオン交換容量: 0.5-2.5 meq/g、をパラメータとして整理する。親疎水場の形成は分子構造だけなく、成膜方法(溶液キャスト、スピンコート、溶融成形)、キャスト溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドおよびそれらとアルコール、水の混合溶媒)、熱処理(ガラス転移温度以上でのアニーリング、ホットプレス)、機械延伸、含水方法(水浸漬、加湿ガスとの接触)、などによっても影響されるため、親水クラスター形成やその連結性を決定する主要な因子を明確にする。特に親水場のモルフォロジーは、既存のフッ素系電解質膜(4 nmの親水クラスターと1 nmのイオンチャンネル)と比較しながら任意なサイズの親水場を構築できる要件を見出したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の研究費は消耗品費と旅費に使用することを計画している。消耗品の主な内訳は、電解質膜の合成のために必要な各種有機試薬、溶媒、物性測定のために使用する高圧ガス、などである。旅費は、国内外の学会で積極的に成果発表するために使用する。電池討論会や燃料電池ゴードン会議などへの参加を予定している。
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Research Products
(10 results)