2011 Fiscal Year Research-status Report
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23656440
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伏見 公志 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20271645)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 局部反応 / 界面反応 / 萌芽過程 / リアルタイムイメージング / その場測定 / 不働態 / 脱不働態 / 偏光反射顕微鏡 |
Research Abstract |
局部的な電気化学界面反応にともなう表面形態の変化をリアルタイムで追跡し、これと同時に微小電極法を併用して局部界面反応生成物の電気化学解析を実施する。従来、その発生場所を特定できないために全くと言って良いほど解明されていなかった局部腐食、特に孔食の萌芽過程の反応機構と速度論の解明を目指すことを目的としている。今年度は局部腐食の萌芽過程の発現場所を特定するための時間応答性に優れた界面反応可視化電気化学測定法2種類を開発し、界面反応可視化に適用を試みた。 消光型偏光反射解析法とCCDカメラを組み合わせて、溶液中に浸漬した材料表面で反射する偏光状態を観察する顕微鏡(偏光反射解析顕微鏡)を作製した。完成度は低いものの、硫酸酸性環境中、チタンをアノード分極した際に素地結晶面方位に依存して酸化皮膜が成長する過程、さらに溶液中に添加した臭化物イオンの攻撃により酸化皮膜が局部的に劣化し孔食が発生する過程を、6 fpsの時間分解能で可視化することに成功している。特に後者は、不働態皮膜の局部破壊現象、すなわち脱不働態化の萌芽過程を可視化するものである。 試料サイズが80μmΦほどの微小キャピラリセルを長焦点落射照明型偏光顕微鏡に組み合わせて、任意の材料試料表面局部の微小電気化学測定を可能とした。硫酸酸性環境中の鉄の動電位アノード分極を行った結果、微小電極に流れる電流応答から不働態皮膜の安定性が素地結晶面方位に強く依存することを確認した。さらに、同法により結晶粒界上の不働態皮膜安定性を検証している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2種類の局部界面反応可視化電気化学測定装置を開発した。測定原理は異なるがともに材料表面不働態の安定性に関わる電気化学挙動のリアルタイムイメージングに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した装置の時間分解能およびサイズ分解能を向上させる改良を随時行う。これと並行して、不働態皮膜の局部破壊萌芽過程に関係する実験データの蓄積、再現性の確認を行い、萌芽過程の反応機構と速度論の解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度、装置の開発を試行錯誤を繰り返しながら行ったため、装置部品用の消耗品費に繰越しが出た。次年度は、装置の性能向上、特に時間分解能およびサイズ分解能を高めるため、高性能の光学および電子部品を購入する。この他、研究成果を発表するための学会参加旅費に充てる。
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