2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23656440
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伏見 公志 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20271645)
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Keywords | 偏光反射顕微鏡 / 脱不働態化 / 前駆過程 / 不均一界面反応 |
Research Abstract |
局部的な電気化学界面反応にともなう表面形態の変化をリアルタイムで追跡し、これと同時に微小電気化学測定を併用して局部界面反応生成物の電気化学解析法の構築を目指した。従来、その発生場所を特定できないために全くと言って良いほど解明されていなかった局部腐食、特に孔食の萌芽過程の反応機構と速度論の解明を目的として実施した。前年度までに局部腐食の萌芽過程の発現場所を特定するための時間応答性に優れた界面反応可視化電気化学測定法2種類(A.偏光反射顕微鏡法およびB.微小キャピラリセル搭載光学顕微鏡法)を開発した。 本年度、消光型偏光反射解析法とCCDカメラを組み合わせて、溶液中に浸漬した材料表面で反射する偏光状態を観察する顕微鏡(A法)を用いて、硫酸酸性環境中、チタンをアノード分極した際に(1)素地結晶面方位に依存して酸化皮膜が成長すること、溶液中に添加した臭化物イオンにより酸化皮膜が局部的に劣化する孔食前駆過程において、(2)劣化箇所の酸化皮膜に臭素が取り込まれること、(3)動電位分極を定電位分極に切り替えると孔食発生が中断抑制されることを、明らかにした。後者(2、3)によって、不働態皮膜の局部破壊現象すなわち脱不働態化萌芽過程の可視化に成功したと言える。 長焦点落射照明型偏光顕微鏡下、試料直径50umほどの微小電気化学セルを形成できるB法により、硫酸酸性環境中の純鉄の動電位分極、定電位分極、さらに電気化学インピーダンス分光を行った結果、不働態皮膜の形成速度論および形成した皮膜の安定性が素地結晶面方位に強く依存することを確認した。さらに、二相炭素鋼の相間ガルバニック腐食の可能性についても、解析を試みた。 これら微小電気化学測定と光学測定法を組み合わせた新規な界面計測法により、金属組織サイズレベルの不均一性を一因とする局部界面反応の発現に関する解明が一段と進んだものと評価される。
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