2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23656442
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菊地 竜也 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60374584)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ナノ材料 / 表面・界面制御 / アノード酸化 / ポーラス金属 |
Research Abstract |
本研究においては、「自己組織化アノード酸化法」と「溶融塩を用いた酸化物直接還元法」を融合することにより、高密度に規則配列されたナノポーラス金属の創成を目的とした。平成23年度の研究においては、(1)代表的なバルブ金属であるチタンをアノード酸化することにより、高密度・高規則性を有するポーラス/チューブ状酸化チタン層の形成を試みること、および(2)酸化チタン粉末を高温溶融塩中で無電解カルシウム還元することにより、金属チタン粉末を生成することを試み、高密度ナノポーラス金属創成の足がかりとした。 塩化物イオンを含む水溶液中にチタンを浸漬してアノード酸化を行うと、直径10nm程度の極めて微細なナノチューブ層が生成したが、ナノチューブ層が局所的に成長しており、試料全面に均一なナノチューブ層を作製することは困難であった。一方、水溶液にフッ化物イオンを用いてアノード酸化を行うと、規則構造を有するナノチューブ層が試料全面に生成した。 酸化チタン粉末を塩化カルシウム/金属カルシウムとともにチタンるつぼ中に封入し、1173Kの温度に保持して無電解カルシウム還元を行うと、カルシウム量が少ない場合にはチタンの低級酸化物が生成し、金属チタンはほとんど得られなかったが、カルシウム量の増大とともに生成金属チタンの量が増大することがわかった。これは、塩化カルシウム溶融塩中に溶解した金属カルシウムが酸化チタン表面において無電解還元の還元剤として作用し、酸化物中の脱酸が進行することにより、金属チタンが形成されたためである。上述の研究成果より、カルシウム無電解還元を用いることにより、酸化チタンナノチューブ層を金属チタンナノチューブ層に還元できる可能性を見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書においては、(1)ポーラス酸化物形成条件の探索、および(2)無電解酸化物還元挙動の追跡、の2点を研究実施計画に記載しており、研究実績の概要において報告した通り、おおむね計画通りに進行していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、23年度の研究成果を元に、アノード酸化によって生成したナノポーラス/ナノチューブチタニア層を金属カルシウムによって無電解還元し、ナノポーラス金属の創成に挑戦する。酸化チタンを金属チタンに還元できることは明らかな実験事実となったので、24年度の研究においては、上述のナノ構造を有する酸化チタンがどのように金属チタンに還元されるのか、表面形状変化を中心として明らかにしたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度においては、比較的順調に研究が進行したため、次年度において使用する研究費が生じた。一方、24年度においては、研究の中心が1000K以上の高温無電解カルシウム還元に移行するため、比較的消耗品などの使用量が多くなるものと予想される。また、当該研究について、積極的に研究発表を行いたいと考えている。
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Research Products
(2 results)