2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23656442
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菊地 竜也 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60374584)
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Keywords | ナノ材料 / 表面・界面制御 / アノード酸化 / ポーラス金属 |
Research Abstract |
本研究においては、自己組織化アノード酸化法を用い、チタン表面に高密度ナノポーラス/ナノチューブ層を形成したのち、これに無電解カルシウム還元を行うことにより、高密度に配列したナノポーラス金属の創製を目的とした。 前年度の研究において、フッ化物を用いたアノード酸化により、高密度ナノチューブ構造を形成できることがわかったが、本年度は、その実験条件を詳細に検討し、極めて規則的なナノチューブ構造の構築に成功した。また、このナノチューブ生成試料の密着性を制御して水洗することにより、チタン素地上からナノチューブ構造が容易に剥離し、チタン表面に規則的なナノディンプルアレイを構築できることが明らかになった。このナノディンプルアレイの直径および深さは、アノード酸化時間により変化した。 上述のナノチューブ形成チタン試料を、溶融した塩化カルシウム/金属カルシウム(1173K)中に保持し、酸化チタンナノチューブの無電解カルシウム還元を試みた。X線回折を用いた測定より、酸化物は完全にチタン金属に還元された。これは、過剰な金属カルシウムの投入により実現された。一方、還元試料の表面を電子顕微鏡により観察すると、ナノチューブ状の金属チタンは認められなかった。この理由は、無電解還元における酸化物/金属間の体積変化および生成金属チタンの焼結による形状変化が原因であろう。 以上より、自己組織化・高密度ナノポーラス金属を創製するためには、アノード酸化と皮膜剥離による手法を適用することが最も簡便かつ適切であると結論付けられた。
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