2011 Fiscal Year Research-status Report
異種金属繰返し多層めっきによる高強度1次元ナノ構造バルク材の作製と物性理解
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23656443
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三浦 誠司 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50199949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂入 正敏 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50280847)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | めっきプロセス / ナノ材料 / 強度 / 靱性 |
Research Abstract |
本研究は、従来手法ではサイズや試料強度の上限や微細化の下限に阻まれるナノ構造バルク材の新たな作製法の展開を目指し、微細構造を積み上げるボトムアップ型プロセスとしての「めっき」を利用したプロセスの検討を行う。すなわち、転位運動を阻むレイヤーを板状試料表面に平行かつ周期的に導入することで、めっきにより作製した層内での転位運動の効果的な抑制が期待できる。このような1次元的変調構造を実現した高強度ナノバルク板材の作製手法確立を目指すとともに、その機械的性質の支配因子を理解することを目的とする。 初年度は以下の二項目を実施した。(1) 「自動ナノ厚さ多層めっきバルク作製装置」の開発(2) 多層めっきバルク材を実現し、その機械的性質の根源を追求する。 多軸ステージおよび位置制御装置コントローラで試料位置を制御し、温度制御水槽内に設置した二種類のめっき浴に試料を順次浸漬し、関数発生器で制御したポテンショスタットによって膜厚、組織を制御する、「自動ナノ厚さ多層めっきバルク作製装置」を開発した。4時間の自動運転で90層の多層めっき作製に成功した。試作したCu/Ni 多層めっきのGD-OES 分析結果から、表面から奥行き方向にナノ厚さのめっき層が交互に作製できていることが確認した。ナノインデンテーションなど硬さ試験の実験条件を確立し、熱処理等と組み合わせた物性変化の研究を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標は(1) 「自動ナノ厚さ多層めっきバルク作製装置」の開発(2) 多層めっきバルク材を実現し、その機械的性質の根源を追求する。であった。既に多軸ステージおよび位置制御装置コントローラで試料位置を制御し、温度制御水槽内に設置した二種類のめっき浴に試料を順次浸漬し、関数発生器で制御したポテンショスタットによって膜厚、組織を制御する、「自動ナノ厚さ多層めっきバルク作製装置」を開発し、4時間の自動運転で90層の多層めっき作製に成功した。さらに、試作したCu/Ni 多層めっきのGD-OES 分析結果から、表面から奥行き方向にナノ厚さのめっき層が交互に作製できていることが確認した。ナノインデンテーションなど硬さ試験の実験条件を確立し、熱処理等と組み合わせた物性変化の研究を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に開発した自動ナノ厚さ多層めっきバルク作製装置によって作製した多層めっきバルク材の機械的性質をさらに追求する。試料作製に当たっての変数としては、(a)金属の組み合わせ、(b)厚さの組み合わせ、(c)電流密度制御による膜成長速度、が挙げられる。H24年度では、銅、ニッケル、スズ、クロムなどめっきとして長い使用実績のある複数の金属を対象として、ナノ厚さめっき層の導入による変形抵抗の増加と弾性定数、界面構造の関係を明らかにする。ここで挙げた4種類の組み合わせから、めっき金属の組み合わせは12通りとなる。異種金属のめっき層厚さの組み合わせを数通り変化させることで、数十通りの実験条件を得ることとなり、これらの一連の強度試験からその機械的性質の発現メカニズムを抽出する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度中は開発した装置の自動化達成度が想定以上だったことから装置監視等のための謝金等が発生しなかったため、未使用額が発生した。これらは24年度における長時間連続運転対応の装置高度化と、若干の作業のための謝金に充当する予定である。
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