2011 Fiscal Year Research-status Report
グラフェン表面への意図的ナノ炭化物の析出とCNT/マトリックス界面の荷重伝達制御
Project/Area Number |
23656445
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川崎 亮 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50177664)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | カーボンナノチューブ / 粉末冶金 / Cr添加Cu / 酸処理 / 表面欠陥 / クロム炭化物 / 界面観察 / 荷重伝達 |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ(Carbon nanotube以下CNTと記す)の表面処理により、グラフェン表面に、ある程度制御されたナノサイズの表面欠陥を導入し、そこへ意図的にCr炭化物の局所的析出を試み、CNT/CuCr合金マトリックスの界面における原子的結合を形成し得るか、それによって有効な荷重伝達効果を引き起こせるかについて熱機械的な試験結果を基に考察する。まず、ガスアトマイズ法によりCrを過飽和に固容させたCuCr合金粉末を作製し、CNTとの複合化を試み、密着した界面の形成や炭化物の析出形態について詳細に検討する。CuCr/CNT複合材料の熱機械的特性を評価し、熱伝導率ばかりでなく、優れた機械特性を引出せるか否かについて明らかにする事を目的としている。 本年度は, 一般的に銅/CNTは濡れ性が悪く、界面強度が弱く、機械的性質についてはCNTの優れた特性を引出す事が依然として難しい。CNT表面への各種元素のコーティングが試みられているが、その成功例は報告されていない。 そこで、何らかの方法でCNTの表面欠陥部にナノ炭化物相を積極的に生成させる事により、局所的に化学的結合を持った強い界面を形成できれば、荷重伝達効果の向上に繋がり、熱伝導率と共に低熱膨張特性など優れた熱的機械的性質を同時に引出せる事が期待される原料粉末としてCrを微量添加したCuCr合金粉末をガスアトマイズ法で作製する。カーボンナノチューブは、MWNT(直径20~70mm、長さ数10μm)を用いる。まず、CNTの表面処理を行う。次に、コロイドプロセスと放電プラズマ焼結法を組合せた粉末冶金プロセスによりCuCr/CNT複合材料を作製し、最適条件にてCuCr/CNT複合材料を作製する方法について検討した
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年3月11日の東日本大震災のため、研究の開始がかなり遅れたことが理由である。復旧に努めた結果、実験装置の一部が使用できるようになり、成果が出てきつつある状態である。
|
Strategy for Future Research Activity |
CNTの表面処理、混合・分散および、燒結については、おおむね順調に進めることが出きるようになり、分析や解析についても共通実験設備を使って実施している。遅れを取り戻し、目的を達成したいと考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年3月11日の東日本大震災のため、研究の開始がかなり遅れたため平成23年度分の研究費に未使用額が発生した。まず、平成23年度予定していた、加熱処理および燒結温度によるCr析出について追加実験を行い、また、CuCr/CNT複合材料の作製を進める。次に、平成24年度の主たる研究として、CuCr/CNT複合材料プロセス条件の最適化、最適条件で作製したCuCr/CNT複合材料の熱機械的特性を評価し、荷重伝達効果について考察する。界面の分析も詳細に実施する。成果をまとめるとともに、新たな課題を提案したいと考えており、我が国独自のカーボンナノチューブ技術に対して貢献したい。
|
Research Products
(1 results)