2011 Fiscal Year Research-status Report
耐食鋼の省資源化を可能とする多成分系非金属介在物の電気化学的高耐食化原理の導出
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23656447
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
武藤 泉 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20400278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 信義 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40111257)
菅原 優 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40599057)
赤尾 昇 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助手 (80222503)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 材料加工・処理 / 腐食防食 |
Research Abstract |
1. 多成分系介在物の電気化学特性解明の第一歩として、MnSに高耐食化元素であるTiが固溶した際の挙動を重点的に解析した。具体的には、TiSおよびTi4C2S2の塩化物水溶液中でのマイクロ電気化学特性を解明すると共に、TiSおよびTi4C2S2の電位-pH図を作成し、それらの水溶液中での安定性を解析した。その結果、高耐食化の原因は、介在物の表面に、Ti系酸化物を主成分とする酸化皮膜が形成されること。そして、これらの保護性が高いことが主な要因であることが解明された。特に、MnS系介在物表面のMn酸化物や、CrS系介在物のCr2O3に対し、TiSやTi4C2S2表面のTiO2系酸化物の皮膜は、耐塩化物性に優れると共に、高電位下での過不働態溶解を起こさないという優れた特性があることがマイクロ電気化学計測により初めて確認された。この新知見はスラグ系のCaS含有Al2O3-SiO2-CaO系介在物にも当てはめることが可能であると考えられる。すなわち、皮膜生成が促進されるか否かが介在物の高耐食化のポイントであるとの基本指針を得ることに成功した。2. サブミクロンオーダーの腐食反応をin situ解析可能なマイクロ電気化学計測システム開発に関しては、水浸対物レンズを使用することで、高い解像度と、対物レンズの収差による画像の不鮮明化を軽減できることを確認した。また、光学顕微鏡の対物絞りを調整することで、コントラストの高い鮮明な画像を取得できることも確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展しているものの、震災の影響で学科共通設備が使用できない状態になったため当初平成23年度に予定していた「CaS含有Al2O3-SiO2-CaO系介在物の人工合成の実施」を24年度に移し、その代わり、平成24年度に計画していたサブミクロンオーダーの腐食反応をin situ解析可能なマイクロ電気化学計測システム開発を今年度に前倒しして実施した。全体としては、おおむね順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 介在物組成と耐孔食性との関係把握: CaS含有Al2O3-SiO2-CaO系においてSiO2とAl2O3量を主なパラメータとし、組成を変化させる。介在物を起点とする孔食発生が容易であるか否かは、NaCl水溶液中で孔食発生電位を求めることで定量化する。また、CaSの固溶限が大きいことなど、介在物を構成する鉱物相の形成挙動が重要であるため、FE-EPMA、FE-SEM/ EDSなどを用いた介在物の相同定と形成機構解析を行う。2. 介在物へのアルカリ土類、遷移金属等の添加効果探索 : 今までにない高耐食化を達成するシーズを発掘するため、単純な製鋼スラグの範囲を超えて、アルカリ土類金属(Mg、Sr、Baなど)や各種金属元素を添加したCaS含有Al2O3-SiO2-CaO系介在物を作製し、電気化学特性を系統的に調査・解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
震災の影響で、圧延機(学科共通設備)を使用することができず、「CaS含有Al2O3-SiO2-CaO系介在物の人工合成の実施」を24年度に移し、平成24年度に計画していたサブミクロンオーダーの腐食反応をin situ解析可能なマイクロ電気化学計測システムの開発をH23年度に行った。このため、未使用額が生じた。差分は、当初の予定通り、人工介在物の合成技術の開発のための素材や試薬の購入などに使用する。
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Research Products
(1 results)