2012 Fiscal Year Annual Research Report
耐食鋼の省資源化を可能とする多成分系非金属介在物の電気化学的高耐食化原理の導出
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23656447
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
武藤 泉 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20400278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 信義 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40111257)
菅原 優 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40599057)
赤尾 昇 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助手 (80222503)
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Keywords | 介在物 / 孔食 / ステンレス鋼 / マイクロ電気化学セル |
Research Abstract |
平成23年度に開発したリアルタイムその場光学顕微鏡観察機能を備えたマイクロ電気化学計測システムを用いて、ステンレス鋼のMnS系介在物を起点として孔食(ピット)が発生する機構を解明した。MnSを含む微小領域(約100×100μm)を、塩化物を含む水溶液中でアノード分極すると、MnS/鋼境界が選択的に溶解し、溝が形成され、この内部にピットが発生することが分かった。溝の深さが浅い場合には、ピット内部液が沖合の溶液と容易に混ざり合うため、発生1秒程で再不働態化する。これに対し、溝が深い場合には、ピット内部液の希釈は起こらず、低pH化が進み成長性のピットとなる。再不働態化したピットの大きさが1μmであることから、たとえMnS系介在物が存在したとしても、大きさが1μm以下であれば、形成される溝も1μm以下であり、耐食性に対し介在物は無害であると思われる。また、MnS/鋼境界に溝が形成される原因は、MnS溶解により生成するS系化学種が、鋼の溶解を加速するためであることが分かった。すなわち、介在物の大きさを1μm以下にするか、あるいは介在物中のS濃度を低下させることが実用鋼の高耐食化のポイントであることが明確になった。 そこで、S含有多成分系介在物の組成と、電気化学特性との関係を実験的に求めるため、モデル介在物の作製を試みた。Fe-18Cr-8Ni鋼にφ1mm程の穴をあけ、その内部にS量の異なるAl2O3-SiO2-CaO混合粉末を充填し加圧した。その後、1250℃で2時間の熱処理を行った。そして、試験片を湿式研磨し、混合粉末の部分を露出させ、この部分を含む微小領域の電気化学特性を計測した。その結果、モデル介在物を有する微小領域では、ステンレス鋼母地とは異なった電位-電流特性になることが分かった。この手法により、介在物組成と溶解特性との関係を把握できるものと思われる。
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Research Products
(8 results)