2012 Fiscal Year Annual Research Report
超急速加熱下のアモルファス構造変化の検出方法の開発とその応用
Project/Area Number |
23656448
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
早乙女 康典 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (90143198)
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Keywords | 金属ガラス / 結晶化 / 急速加熱 / ガラス形成能 |
Research Abstract |
金属ガラスは,急冷凝固過程で溶融金属の粘性が増大し,過冷却液体状態を経て,アモルファス固体として得られる.そこで,これとは逆に,金属ガラスを室温から超急速加熱(~1,000,000K/s)することにより生ずるガラス遷移,結晶化挙動を調べると,ガラス遷移温度,特に結晶化開始温度,終了温度が上昇する.また,この結晶化過程では複数の結晶化過程が現れ,この相分離の詳細を明らかにすることは,アモルファスと結晶との構造変化とガラス形成能のメカニズムを明らかにすることができ,また,新材料設計の指針となる.さて,材料の準平衡加熱下の相変化の測定には,一般に示差走査熱量計(DSC)が用いられるが,本研究では,直接通電加熱方式によって,加熱速度1,000,000K/sに至る急速加熱下での相変化を捉えるために装置の改造を行い,二色温度計(InGaAs,波長1.52,1.64μm)を用いた温度計測システムを完成させた.急速加熱下の温度,電気抵抗値変化,応力緩和挙動,熱分析曲線から,ガラス遷移温度Tg,結晶化開始温度Txs,終了温度Txfを特定する方法を確立した.応力緩和挙動については,試験片に予め引張り予変形を与えておき,急速加熱下で現れる構造緩和,ガラス遷移,過冷却液体域での粘性低下現象を計測し,解析を行った.試験片は,耐食性に優れるNi65Cr15P16B4,およびZr55Al10Cu30Ni5を用いた. Ni基合金では,加熱速度の増加とともに,温度Tg, Txs,Txfが上昇し,結晶化ピークの数も増大することを明らかにした. また,Zr基合金については,500,000K/sにおいて結晶化終了点が消滅した.スペクトル解析においては,300~2,000nmの全波長帯域についての解析を行うには,各素子間の信号レベルの補正を行うことにより,詳細な解析が行えることがわかり,本研究を継続発展させる.
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Research Products
(8 results)