2013 Fiscal Year Annual Research Report
空気中バリア放電処理による色素増感太陽電池の変換効率向上
Project/Area Number |
23656449
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小野 亮 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (90323443)
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Keywords | 色素増感太陽電池 / チタニア電極 / バリア放電処理 / 紫外線処理 / 活性種 / 低温焼成 / プラスチック基板 / 変換効率 |
Research Abstract |
本研究課題の主要テーマの一つである「プラスチック基板色素増感太陽電池のバリア放電処理による性能向上」について、本年度、十分な成果を上げることができた。色素増感太陽電池のTiO2光電極は、有機物バインダを含むTiO2ペーストを基板に塗布して、これを焼成して作成する。バインダの気化には450度以上の焼成温度が必要であり、ガラス基板では問題ないが、高温に弱いプラスチック基板では使用できず、バインダを除いた特殊な「バインダフリーペースト」を使用する必要があった。この手法では、バインダを除くために太陽電池の性能が半分以下に落ちるという欠点があった。本研究では、プラスチック基板が耐えることのできる150度の焼成温度で、バリア放電処理と紫外線処理を併用することで、プラスチック基板にバインダ入りのTiO2ペーストを使用して、色素増感太陽電池を作成することに世界で初めて成功した。本手法で作成した「バインダ入りペースト+150度焼成+バリア放電処理+紫外線処理+プラスチック基板」の色素増感太陽電池は、我々が同じペーストを用いて従来手法で作成した「500度焼成+ガラス基板」の太陽電池に比べ、変換効率が8割にも達する極めて優秀な成果を収めることができた。また、この「150度焼成+バリア放電処理+紫外線処理」をガラス基板に適用すると、その変換効率は従来手法のものと比べて1割増しとなり、焼成温度を500度から150度に下げたにもかかわらず変換効率が増加するという革新的な製法を開発するに至った。バリア放電と紫外線処理なしで150度焼成をすると、変換効率はほぼ0%であったことを考えると、大きな成果である。また、紫外線処理には低圧水銀ランプを使用したが、処理時間が20時間弱かかるため、これを真空紫外光源であるエキシマランプを使用することで1/20に短縮する手法も開発した。
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