2011 Fiscal Year Research-status Report
同一規則構造をベースとする二相分離にともなう組織化過程の解明と制御
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23656453
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
木村 好里 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (90262295)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 規則構造 / 相分離 / 単結晶 / 固溶強化 |
Research Abstract |
同一の規則構造をベースとしながら構造欠陥の有無によって異なる相として区別される二相が共存する合金系において、これら二相間の相変態や相分離過程を利用し、規則構造の「類似と相違」という観点から劇的な物性の変化や新機能を発現させることに挑戦する。空孔サイトあるいは元素の有無という違いによって異なる相として区別される金属間化合物の組み合わせとして、以下の2組を選択して研究を進めている。(1)TiNi化合物粉末とSn粉末を均一に混合して反応焼結することで公称組成TiNiSnの合金を作製した。高分解能透過電子顕微鏡(HR-TEM)を用いた詳細な組織観察を行い、ハーフホイスラー型TiNiSn母相にホイスラー型TiNi2Snが数nmの粒子として析出することを観察した。局所的なNiと空孔の規則化による相分離に起因すると予測できる。格子ミスフィットは2.4%程度であるが、粒子サイズが小さく体積率が低いことからX線回折やTEM回折では析出相を識別できない。HR-TEM格子像を高速フーリエ変換した回折図形により確認できた。(2)Ni基超合金の強化相であるL12型Ni3AlにCを添加すると、その単位包における体心位置にあたる八面体隙間にのみC原子が固溶配置したE21型規則相Ni3AlC1-x(x:空孔)となる。そこで種々のC濃度でNi3AlC1-x単結晶を作製して、機械的性質に及ぼすC固溶量の影響を調べた。荷重軸が<123>および<001>近傍に平行となるような方位を選び、室温における圧縮試験を行って塑性変形挙動を調べた。侵入型C原子に起因する固溶強化により、C固溶濃度の上昇に伴い降伏応力が増大する。さらにC固溶濃度2 at.%付近を境として、固溶強化量は不連続に急上昇することを明らかにした。C固溶による弾性応力場が重なり合うことに起因すると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究対象として選んだ合金系2組について、それぞれ順調に実験を進めることができている。一つの系(ハーフホイスラー)では反応焼結試料の作製ならびに高分解能透過電子顕微鏡による詳細な組織観察まで達成できており、もう一つの系(L12-E21)では単結晶作製による塑性変形挙動の測定および観察まで到達していることが上記の評価理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
2組ある合金系のうち、塑性変形挙動を調べた耐熱合金に関連するL12型とE21型の組み合わせた合金系に特に注力して、両者の規則構造の違いとなる侵入型元素が塑性変形機構としての転位運動に及ぼす影響を詳しく調べる。さらに同じE21型規則構造を持つ異なる合金系まで範囲を拡大して、磁性材料としての全く新たな可能性を探るため、侵入型元素規則化と磁気特性の関連性について測定を行って考察を深めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度は2つの系の複数試料について時間をかけて組織観察と解析を十分に行うことができたため、予算の一部に残額が生じた。そこで次年度は効率よく実験を進めることを考えた使用計画が立てられる。透過型電子顕微鏡(TEM)による組織観察が主な実験内容として計画に含まれるため、TEM試料作製のための消耗品、TEM用感光材料(フィルム)の購入、あるいは学内の分析用走査型透過電子顕微鏡の使用料(課金制)を計画している。また、合金試料の化学組成分析依頼料、資料収集および研究成果発表のための旅費を予定している。
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Research Products
(3 results)