2011 Fiscal Year Research-status Report
表面波スペクトロスコピーを利用した極表面層の温度プロファイリングの実証研究
Project/Area Number |
23656454
|
Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
井原 郁夫 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (80203280)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 表面温度 / 弾性表面波 / 温度勾配 / 表面波スペクトロスコピー / 計測工学 / 非破壊評価 |
Research Abstract |
本研究は材料表面層の深さ方向の温度勾配の定量評価に関する新しい知見を得るとともにその非破壊モニタリング手法を創出することを目的としている。本年度は、材料表面を伝搬する超音波(一般に表面弾性波と呼ばれるもので、以下では表面波と略す)の伝搬挙動が材料表面特性に極めて敏感であることに着目し、これを材料表面近傍の温度勾配の評価に活用することを目指していくつかの基礎的な検討を行なった。主な結果は以下のとおりである。(1)工業材料の極表面の温度勾配の存在に関する理論的検討本研究では材料表面層の温度勾配、特に極表面層に存在する急激な温度変化ならびにその過渡変化を高周波表面波により検出し、その定量評価を行うことを目的としているため、その実証試験の方法を吟味することは非常に重要である。そこで、加熱される金属材料(鋼、アルミニウム)を対象として表面層の温度勾配の存在についてBi数を指標とした理論的検討を行なった。その結果、通常環境下では多くの金属材料では数ミリメートル以下の表面薄層に急激な温度勾配を安定的には存在させるのは難しいことがわかった。この結果を踏まえて、次年度の実証実験の方法を精査することとした。(2)非接触超音波法の適用に関する検討本研究の目的達成のためには高温材料の表面波挙動を高精度で測定することが不可欠である。それを具現化するために、レーザー超音波法を援用した非接触計測システムを構築した。また、赤外線カメラ(本研究により購入)を同システムに組み込み、表面波と表面温度との同期モニタリング・解析システムを構築した。これにより加熱材料表面の高精度な表面波スペクトロスコピーによる温度計測実験の基礎が築かれたものと考える。(3)表面層に温度勾配を有する材料を伝播する表面波の周波数分散を順計算するための差分法シミュレーションを開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初期の目標の妥当性を検証することで実証実験の問題点と解決法を精査することができた。また、実証実験のためのハードウェアを概ね構築することができた。さらに、次年度の実験方法を詳細に検討するための数値シミュレーションに着手できた。以上を踏まえると、研究は概ね順調に進んでいると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、現在遂行中の数値シミュレーション結果を取りまとめ、実証実験において実現すべき表面温度勾配(最高温度、勾配の程度、勾配の深さ、勾配の形態)を具体的に設定する。この結果を踏まえて、表面加熱媒体の表面波データに基づく表面温度勾配同定のための逆解析手法を構築する。次いで、加熱材料に対する非接触表面波計測実験を遂行し、温度プロファイリングを試みる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
3次元差分解析のためのソフトウェアを購入し、上記の数値シミュレーションの高度化をはかる。進展状況次第では、検証実験のための高温超音波センサーを購入することを予定している。
|
Research Products
(15 results)