2012 Fiscal Year Annual Research Report
規則型ナノ析出物によるマグネシウム合金板の双晶変形制御とその室温成形への展開
Project/Area Number |
23656455
|
Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
鎌土 重晴 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (30152846)
|
Keywords | マグネシウム合金 / 熱間圧延 / 動的再結晶 / 結晶粒径 / 規則GPゾーン / 双晶変形 / プレス成形 / 機械的性質 |
Research Abstract |
本年度は、規則GP ゾーンを析出する汎用型希薄Mg-Al-Ca合金を用いて、①圧延工程にて動的な再結晶・析出を利用して結晶粒を均一・微細化させるとともに、②GP ゾーンを母相に均一微細に分散させ、最終的に高強度・高延性化、さらには室温成形性の向上を目指した。具体的圧延工程として、(i)粗圧延では圧延ロール温度300℃、試料温度425℃~450℃、圧下率40%にて高速圧延し、動的再結晶を促進させるとともに、均一・微細な再結晶粒とし、(ii)仕上げ圧延を最後の1パスのみとして、圧延ロール温度および試料温度300℃、圧下率30%として高速圧延し、動的析出を伴った動的再結晶を促進させることにより、再結晶粒をさらに均一・微細にすることに成功した。その結果、Mg-0.3mol%Al-0.15mol%Ca-0.2mol%Mn希薄合金の圧延まま材でも、圧延方向、板幅方向、圧延方向に対して45°方向の三方向で引張強さ280MPa~300MPa、0.2%耐力255~275MPa、破断伸び21%~24%と、面内異方性の少ない、ほぼ均質な引張特性が得られた。これらの特性値は自動車用ボディパネル材に使用されているアルミニウム合金並みの引張特性に匹敵する。さらに、その後の焼なまし処理により、室温でも曲率半径R=1mmで90°曲げが可能であることも明らかにした。 以上のように、Mg-Al-Ca-Mn希薄合金でも高温・高圧下率の圧延により動的再結晶を促進して均一・微細な動的再結晶粒を得た後、低温で1パス圧延することにより更なる結晶粒微細化と均質性を同時に達成できること、その結果、高強度・高延性・室温易加工性が得られることが判明した。これらの成果は、今後のマグネシウム合金板材創製のための指針となるものと確信する。
|