2012 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキタス元素だけを用いた超耐酸化性・超硬質膜の創製
Project/Area Number |
23656456
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
野瀬 正照 富山大学, 芸術文化学部, 教授 (70269570)
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Keywords | 薄膜プロセス / 硬質保護膜 / ナノコンポジット膜 / ユビキタス元素 |
Research Abstract |
窒化物/酸化物複相構造膜: ①窒化物にAlNを、酸化物にSiO2およびAl2O3をそれぞれ選び、差動排気型同時製膜装置を用いてこれらの複合化を図った。その結果、AlN単相膜では約23GPa,SiO2およびAl2O3単相膜ではいずれも約12GPa程度の硬度しか得られないにも関わらず、これらの複合化により最高で33GPaの高硬度が得られた。目標の超高硬度こそ得られなかったものの、約50%も増大した。AlN/SiO2膜においては約20vol%のSiO2を複合化した膜で、AlN/Al2O3複合膜については、Al2O3が5~50Vol%の広範囲な複合割合で30GPaを超える高硬度を示した。この事実は窒化物と酸化物との複合化における反応が関与していることを示唆しているものと考えられる。②これらの膜の微細構造や結合状態を高分解能電子顕微鏡およびX線光電子分光分析などを用いて詳細に調べた結果、窒化物と酸化物は部分的に元素が置換するなど成膜時に反応が生じているものの、数十nm程度の窒化物粒子を取り囲むように酸化物のネットワーク構造が形成されていることが明らかになった。このことが、高硬度が得られた要因の一つであると考えられる。③基板回転速度1rpmで数十nm程度の周期をもつ積層膜の作製を試みたが、硬度、ヤング率で12rpmで作製した膜と大差がなかった。 AlSiON膜: ④通常のスパッタ成膜装置を用いて、Al2O3板+Siチップによる複合ターゲットを用いてAlSiON膜を作製し、上記の差動排気型同時製膜法で作製したAlN/SiO2複合膜と比較した。その結果Siチップの面積をターゲット全体の12%にして製膜してもAl2O3ターゲット単体で製膜した場合に比べて数%しか硬度が増加せず、最高で27GPaと30GPaに届かなかった。また得られた膜はほぼB4-AlNに該当する微結晶から構成されることが分かった。
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Research Products
(7 results)