2012 Fiscal Year Annual Research Report
レアメタル代替酸化物結晶薄膜のプロセスイノベーション
Project/Area Number |
23656457
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
手嶋 勝弥 信州大学, 工学部, 教授 (00402131)
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Keywords | フラックス法 / 結晶層 / 薄膜 / 酸化物 / 透明導電性 / 酸化亜鉛 / 大気圧プラズマ |
Research Abstract |
薄膜(二次元表面)は,グリーンエネルギーデバイスに欠かすことができない材料形態である。本研究では,低環境負荷,高速成膜,低コストを達成する新しい成膜技術により,レアメタル代替材料開発を念頭に,高品質な酸化物系結晶結晶層を低温作製することを目標とした。特に,溶液法の一種であるフラックス法の概念を導入したコーティング法(FC法)によるZnO結晶層の形成に注力し,新しいプロセス提案を目指した。 具体的には,はじめに,硝酸塩や塩化物の混合フラックスを用い,ガラス基板にダメージを与えない温度でZnO結晶層の作製を試みた。この場合,500℃にてガラス表面にZnO結晶層をFC法により形成できた。しかし,塩化物がガラスを侵し,副産物としてケイ酸塩結晶が生成したため,ZnOシード層を導入した。その結果,同一条件でもFC法により自形の発達したZnOナノ結晶からなる結晶層を作製できた。個々の六角柱状ZnO結晶がシード層を起点に,放射状に成長する様子も確認できた。複数の塩化物を混合したフラックスを用い,ZnOの溶解度を向上することで,高結晶性で緻密なZnO結晶層も得ることができた。結晶層-基板界面の状態など詳細に観察・分析し,シード層の有効性も確認できた。さらに,SnO系結晶層作製の可能性を見出すとともに,大気圧プラズマ照射による新たな結晶層形成プロセスの可能性を見出した。 次に,ZnO結晶層作製のさらなる低温化とその成長メカニズム解明を目指し,フラックスとして低共融点溶媒を選択した。特に,他の酸化物をほとんど溶解せず,ZnOの溶解度が大きい塩化コリン系溶媒を用いた。その結果,シード層なしで,ガラス表面に緻密なZnO結晶層を形成することに成功した。シード層を用いないため,ZnO結晶成長の初期過程を観察できた。また,中間化合物の存在も判明し,ZnO成長モデルを形状や組成面から考察できた。
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