2012 Fiscal Year Research-status Report
新規衝突プロセスによるカーボンナノリングの合成と機能探索
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23656463
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大原 智 大阪大学, 接合科学研究所, 准教授 (00396532)
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Keywords | ナノカーボン / 構造制御 / ナノリング / 高速遊星ボールミル |
Research Abstract |
カーボンナノリングは、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェンに次ぐグラファイトの高次ナノ構造体であり、計算科学によりその構造安定性が理論的に予測されている。また、カーボンナノリングはその特異なナノ構造に由来するユニークな機械的特性や磁気特性も理論的に予測されている。しかしながら、これまで実際に合成された報告例は無く、新ナノマテリアルの一つである。本研究者は、最近、カーボンナノマテリアルの新規衝突合成プロセスの開発に着手し、高速遊星ボールミルを活用した衝突エネルギーにより、スチールボールからカーボンナノリングの合成に成功した。そこで本研究では、カーボンナノリングの生成機構を解明し大量製造に向けた衝突合成プロセスの基盤技術の構築を目的した。本年度はカーボンナノリングの合成率の向上を目指し、ミル内反応場へのカーボン原料の導入を試みた。具体的な原料としては、液体(エタノール、樹脂オイル)および気体(炭化水素系ガス)等を候補とし、カーボンナノリングの合成に適した原料を検討した。これにより、衝突プロセスによるカーボンナノリング合成の基盤技術を構築した。また、カーボンナノリングの新機能を探索するため、各種分光法(紫外・可視吸収、赤外吸収、蛍光、ラマン等)を駆使して基礎物性を評価した。さらに、カーボンナノリングの構造(サイズ、カイラリティ、局所欠陥等)と基礎物性の関係を整理し、また、カーボンナノリングの固体潤滑剤や研磨剤への応用可能性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カーボンナノリングの生成機構の解明を試みた結果、カーボンナノリングの原料としてはエタノールが有効であることを明らかにし、大量製造に向けた衝突合成プロセスの基盤技術が構築できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、ナノカーボン等の局所構造を高分解能透過型電子顕微鏡等を使用して解析した結果、特異な局所構造が見つかった。そのため、この局所構造を放射光等を駆使してさらに詳細に解析する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
特異局所構造の高次解析・評価と学会での発表を中心に使用する計画である。
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Research Products
(5 results)