2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規衝突プロセスによるカーボンナノリングの合成と機能探索
Project/Area Number |
23656463
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大原 智 大阪大学, 接合科学研究所, 特任准教授(常任) (00396532)
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Keywords | ナノカーボン / 構造制御 / ナノリング / 高速遊星ボールミル |
Research Abstract |
スチール材料(ボール)を物理的に強力衝突させることによりカーボンナノリングが合成できることをこれまでに見出している。これは、衝突によりスチールボール表面近傍の局所場が2000℃以上の高温状態(ナノホットスポット)になり、スチール中に存在する原子レベルで分散した炭素の気相反応によるものと考えている。また、リング構造の形成にはせん断応力場が有効と推測している。 そこで本研究では、スチールボールの材質、衝突エネルギー、ミル内の雰囲気等を系統的に変化させ、カーボンナノリングの生成量や構造に与える反応条件を検討し、反応機構の解明を試みた。また本研究では、カーボンナノリングの合成率の向上を目指し、ミル内反応場へのカーボン原料の導入を検討した。具体的な原料としては、液体(エタノール、樹脂オイル)等を選定し、カーボンナノリングの合成に適した原料を検討した。さらに本研究では、カーボンナノリングの新機能を探索するため、各種分光法(紫外・可視吸収、赤外吸収、蛍光、ラマン等)を駆使して基礎物性を評価した。また、カーボンナノリングの構造(サイズ、カイラリティ、局所欠陥等)と基礎物性の関係を検討・整理した。その際、炭素系宇宙塵が有すると予測される物性やナノ構造の観点からも検討した。 また本研究では、高速遊星ボールミルを活用することにより、高温高圧相イルメナイトが合成できることを見出した。従来、高温高圧物質はダイヤモンドアンビルセル内のin-situでのみ合成可能であった。そのため、合成される量も微量であり、基礎物性の解析・評価はほとんど行われてこなかった。これに対し、本研究を更に発展させ、高温高圧物質の大量合成が可能になれば、新規機能の発見が期待でき、高温高圧物質を機能材料へと展開できる。
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Research Products
(7 results)