2011 Fiscal Year Research-status Report
プラズマー無機/有機ナノ表界面の複合反応解明による新しい機能制御積層技術の開発
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23656465
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
節原 裕一 大阪大学, 接合科学研究所, 教授 (80236108)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | プラズマ加工 / 無機/有機界面 / 無機/有機積層 |
Research Abstract |
本研究では、プラズマを用いた無機/有機積層におけるプロセス損傷の問題を、独自のプラズマ制御技術により克服することでブレークスルーし、『ソフトなプラズマプロセス』に基づく新しい積層技術を開発することを目的としている。その際、有機分子への損傷形成過程を考慮すると、特に「10電子ボルト以上の過剰なエネルギーでのイオン衝撃」ならびに「真空紫外~紫外域の光照射」を抑制することにより、プラズマプロセスに伴う損傷を回避できる可能性(余地)がある。このため、本研究では、1)無機/有機ナノ界面領域におけるプラズマ(荷電粒子・ラジカル・光)と有機分子との複合的な反応過程を解明し、2)良好な積層構造を形成するために不可欠なプロセス制御の指針確立を目指している。 初年度に当たる本年度は、化学結合制御プロセスの解明・制御を研究課題に据えて、プラズマプロセスにおける荷電粒子・ラジカル・光の同時照射による複合的な損傷生成過程を解明するため、これらの単独照射が有機分子の化学結合状態に与える影響に関する知見を蓄積した。プラズマからの発光と荷電粒子、ラジカルとを分離照射する実験により、有機分子の化学結合状態(特に、π共役分子)に与える影響について系統的に調べ、プラズマからの発光(真空紫外~紫外域)については、表面での光化学反応による複合反応による官能基付与が認められた。さらに、イオン衝撃については、イオンエネルギーを制御することにより損傷形成を顕著に抑制可能であることに加えて、低エネルギーでの反応性エッチングでは、損傷を顕著に抑制したプロセスが可能であることを示した。これらの知見は、無機/有機積層における良好なナノ界面を形成する新しいプラズマプロセスへの指針の確立に極めて重要である。さらに、これらの知見を基に、低ダメージ製膜技術に関する検討に着手し、次年度に向けた実験手法の基礎を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に設定した研究課題である化学結合制御プロセスの解明・制御ならびに低ダメージ製膜技術の基礎検討については、研究実績の概要欄に先述したように、初期の目的は達成できており、研究計画は順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
1.化学結合制御プロセスの最適化 初年度に蓄積した知見をもとに、無機半導体膜を有機半導体の上に形成した試料に、プラズマからの発光、イオン・ラジカルを分離照射し、無機/有機界面での複合的な反応によるプロセスの影響を解明する。2.プラズマ支援原子層堆積技術の評価と最適化 上述の化学結合制御プロセスで得られる知見をもとに、プラズマ支援原子層堆積プロセスの最適化をはかる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の推進に当たって必要に応じて研究費を執行したため、当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更は無く、前年度の研究費も含め、当初の予定どおりに研究計画を進めていく。
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Research Products
(9 results)