2011 Fiscal Year Research-status Report
回転曲げ繰返し強変形を利用した金属管材の組織制御及び結晶粒微細化プロセスの開発
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23656468
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
真鍋 健一 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (10145667)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古島 剛 首都大学東京, 理工学研究科, 助教 (30444938)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 金属管 / 強変形 / 回転曲げ / 繰返し塑性変形 / 結晶粒微細化 / 組織制御 / ねじり / 加工条件 |
Research Abstract |
本研究では金属マイクロチューブにも適用できる組織制御法及び結晶粒微細化法として、金属管を回転しながら曲げ,さらにねじるという画期的で効率的な連続方式の管材の組織制御法および微細化法開発を目指し、初年度は回転曲げ繰返し負荷試験機を設計試作し、原理検証の予備検討を行った。(1)負荷装置の予備検討と回転曲げ繰返し負荷試験機の設計試作:最終的に微細管、マイクロチューブへの適用を目指すが、原理検証に適した手頃なサイズで金属組織観察にも適したφ10mm×t1mmのアルミニウム管を用い、4点曲げによる回転曲げを準静的に行う機構を手作りし、回転曲げ繰返し負荷の可能性を検討した。それを踏まえ適した装置サイズと負荷装置の可能性を検討した後、新たに「回転曲げ繰返し負荷試験機」を設計・試作した。(2)室温での上記試験機の性能評価と微細化予備実験:回転曲げ繰返し負荷試験機の試作により、回転付与はモーターで50,100rpmなどの一定駆動を実現した。総繰返し負荷数には回転時間を用い、可能な回転曲げ繰返し数などについても検討した。実用プロセスを考え高速の100rpmの条件で回転曲げ実験を行った場合、素管が40~50度ぐらいまで発熱すること、また回転曲げ繰返し負荷中に割れが生じ加工できない限界も明らかにすることができた。現状ではデータ不足で定量的に微細化プロセスを実現するための適正試験条件を見出すには至っていない。次年度の課題とした。 並行してマグネシウム合金管を用いたダイレス引抜き過程における高温下での塑性変形による微細化挙動とその加工条件を調査した。その結果、微細化に適した加工条件のあることを見出した。来年度の研究計画に有益な示唆を与えることができた。本年度の「研究発表」実績に掲載できなかったが、結晶粒微細化に関する論文を2012年9月ポーランドでの第14回金属塑性加工国際会議に発表・決定となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の目標は、回転曲げ繰返し負荷試験機の設計試作とその原理検証の予備的検討を行うこととし、回転曲げ方式による組織制御と結晶粒微細化の可能性の当たりをつけ、本格的な検討に入る準備の年として位置づけた。その結果、「回転曲げ繰返し負荷試験機」の設計試作は実現し、原理検証の予備検討も十分ではないが実施し、問題点を明らかにした点では、達成度は目標よりやや遅れている程度と評価できる。 その遅れている大きな原因は、回転曲げ繰返し負荷試験機の設計試作に予想以上に手間取ったことがあげられる。まず、高温でのプロセスを考え高周波誘導加熱の適用による局所加熱を考えたものの、曲げによる面外変形が大きくその適用が難しくなり壁となったからである。また、実用プロセスへの応用展開を意識しすぎて、回転曲げにおける回転数を高速にしすぎた点も安定した負荷が難しくなり結果からみてその改善に時間を要したからである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は2年間のもので、来年度は最後の年度になる。現在までの遅れを挽回するためにより多くの実験データを収集し、組織微細化の達成度を確認することが必要である。その点、並行して行ったマグネシウム管のダイレス引抜きにおける結晶粒微細化への加工条件の影響結果から有効な指針が得られたので、今後の研究の推進を図る方策としては、より多くの実験をするため、新たに「研究協力者」として学部学生を参加させ、卒論テーマとして取組むことにした。前年度は室温での実験しかできなかったが、今後は高周波誘導加熱による高温下での実験に取り組むため、これまで以上に多くの成果が出るものと考えている。その場合は前年度のマグネシウム管のダイレス引抜きの適正加工条件は大いに参考になり、研究をさらに推進できるものと考えられる。なお、高周波による局所加熱が難しくなった場合には既設の小型恒温炉を用いて対応を考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
来年度研究費は年度末での事務執行の遅れにより生じた繰り越し金の5,075円を含めた総額805,075円(直接経費)となる。この研究費は、主として実験関係の消耗品代と成果発表のための国内旅費、研究補助の謝金に当てる計画である。実験消耗品としては、高周波加熱コイル、実験材料、組織観察用の消耗品を購入する計画である。
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