2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23656469
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
栗林 一彦 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (70092195)
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Keywords | 無容器凝固 / 準安定相 / ガス浮遊炉 / 希土類鉄酸化物 |
Research Abstract |
研究代表者らは、これまでに「過冷したメルトからの凝固においては平衡相よりも高エントロピーの相、すなわち融解エントロピーの小さな相が優先する」との仮説を立て、エントロピーと過冷度についてのクライテリオン(Entropy-Undercooling Regime Criterion, Material Science and Engineering A, 449-451 (2007) 675)を提唱した。本研究では同クライテリオンの妥当性の検証を目的に、過冷凝固時に準安定相が晶出するRFeO3(R:(重)希土類元素)に対して、融解エントロピーの測定を可能にする示差熱分析の手法による解析を試みた。RFeO3としては、安定相の観察にはLaFeO3、準安定相の観察にはLuFeO3、YbFeO3の3種類を用いた。過冷凝固実験には無容器の状態で溶融/凝固が可能なガス浮遊炉(ADL)を用いた。実験手順としては、先ずADLチャンバー内を真空ポンプにより1.0×10-1Pa程度に排気し、純酸素(O2ガス)で1気圧雰囲気とした後、O2ガスをノズルから噴射することで試料を浮遊させ、半導体レーザーにより溶融、そしてレーザー光を遮断し浮遊させた状態での冷却により自発核生成を促し凝固させた。その際の温度測定には非接触放射温度計を使用した。酸化物の放射率はおおよそ0.8~1.0と、差異が小さいことから、ここでは1.0に統一して温度測定し、過冷度の測定と併せてエントロピーを算出した。これらの値から算出される前述のクライテリオンは、LuFeO3、YbFeO3のいずれの試料においても、準安定相生成の条件である >1 を満たし、同仮説の妥当性を裏付ける結果となった。
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Research Products
(11 results)