2012 Fiscal Year Research-status Report
プラズモンアンテナ型センサを用いた超高分解能固液界面その場解析手法の確立
Project/Area Number |
23656470
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
本間 敬之 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80238823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳沢 雅広 早稲田大学, 付置研究所, 教授 (20421224)
齋藤 美紀子 早稲田大学, 付置研究所, 准教授 (80386739)
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Keywords | 固液界面 / プラズモニクス / 表面増強ラマン散乱 / めっきプロセス / 密度汎関数法 / 共焦点ラマン顕微鏡 / 分子吸着 / 触媒 |
Research Abstract |
本研究では、0.1nmの深さ分解能をもって固液界面における電気化学反応の1原子・分子層レベルのその場解析を可能とする新規な計測手法を確立し、従来未知であった単分子レベルの固液界面反応の解明に挑戦することを目的としている。 本年度の研究では、前年度までの研究により開発した、Cuからなる同心円形状のプラズモンアンテナ構造を有する超高感度なセンサを用い、Cuと各種還元剤溶液の固液界面の表面増強ラマン散乱スペクトルを観察した。ホルムアルデヒド分子がOを介してCu表面に吸着していることを確認した。またDFT計算により分子の吸着モデルが実験と対応していることを確認した。またヒドラジンと次亜リン酸の2種混合還元剤において、Cu/ヒドラジン/次亜リン酸の2層吸着構造を呈することを明らかにした。さらにAuのプラズモンアンテナセンサ上に吸着したJGB分子の電位印加による分解反応の観察に成功した。また液体潤滑膜を被覆したハードディスク表面のサブナノメートル厚のダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜の、膜厚方向の結晶構造の変化の測定を行い、Nドープによる表面近傍のDバンドとGバンドの強度比(I(D)/I(G))が大きくなって欠陥が増加していることを明らかにした。さらに潤滑油分子とDLCの界面吸着構造を測定することに成功した。またSi基板上のDLC膜において、SiとDLC界面に数オングストロームのSiCが存在することを明らかにした。以上、本提案のセンサと測定システムにより従来測定が困難であったオングストロームレベルの分解能での固液界面、固/固界面の分子構造が測定できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
無電解めっき析出プロセスに用いる還元剤の析出基板表面での吸着状態や、高密度ハードディスク媒体用潤滑剤のディスク表面における分子構造などを、数オングストロームの分解能で測定することに成功している。このことから、当初計画を達成し順調に進展していると判断される。この成果により、比較的シンプルな固液界面の測定の方法論は概ね確立したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
前項に示した成果を基に、今後はより詳細な解析を進めるとともに、複数の分子種が相乗的に作用する系など、より複雑な固液界面解析への展開を図る必要がある。同時に、1オングストロームの分解能での固液界面の観察を実現するとともに、より実用的な系(機能めっき薄膜形成に用いられている電解液など)の解析への展開をはかり、動的なその場観察にもチャレンジする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
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Research Products
(6 results)