2011 Fiscal Year Research-status Report
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23656474
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村上 太一 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (80374966)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 溶融スラグ物性 / 多孔質材料 / 還元反応 / 微細粒子分散複合材料 / エネルギー吸収材料 |
Research Abstract |
溶融酸化物中でのバブリングによる発泡体製造と酸化物発泡体の還元プロセスによる高機能・高発泡金属(酸化物分散複合材料)の製造原理の創生を目的とし、鉄含有酸化物融体の発泡特性調査と高い発泡率の得られる組成範囲の決定、発泡酸化物の還元条件と得られる微細組織の関係の明確化および発泡体の特性評価および高発泡実現と気泡形状の維持と複合材料化に適した組成設計を行っている。本年度は、特に下記の項目を実施した。・CaO-SiO2-FeO系溶融酸化物の発泡挙動 FeOが40-50mass%、CaOが15-30mass%、SiO2が25-45 mass%の範囲で調製した溶融酸化物にArガスを5-20 mL/minで吹き込み、溶融酸化物の発泡試験を実施した。酸化物試料の外周部では0.1-2.0mm程度の気孔径を持つ多孔質酸化物になったが、中心部に数cmの巨大な気泡が形成し、良好な発泡体とはならなかった。発泡材を構成物質のひとつであるCaOの供給形態であるCaCO3が分解する際に発生するCO2に変更し、広い組成範囲で発泡試験をした結果、10%CaO-10%SiO2-80%FeOの組成において気孔率が50%の発泡酸化物を得ることができた。・発泡した酸化物のH2による還元後の組織評価 得られた発泡体をAr-3%H2ガス中、900℃で還元させたところ、還元時間18時間で酸化鉄の金属化率が72%となる複合材料を得ることができた。その際に得られた金属鉄は内部に数µmの気孔を有しており、高気孔率化が図れたものと推測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していたガスバブリングによる多孔質化は非常に困難であったため、その対策に時間を要した。しかし、発泡材を酸化物内に均一に存在させることにより、多孔質化が達成できた。また、還元後の金属鉄組織に微細な気孔形成が認められ、さらなる多孔質化が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
発泡材の供給方法を当初予定から変更し、本年度報告したCaCO3の分解で発生するCO2とする。また、本年度検討できなかった酸化物中のP2O5やCr2O3など添加元素の影響を、当初予定で24年度実施予定の多成分系酸化物における発泡特性の検討に含める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成24年度請求額とあわせ、次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である。具体的には、物品費は、るつぼなどの耐火物の購入に充てる。また、10月にブラジルで開催される世界製鉄会議およびH25.3に開催される日本金属学会にて成果発表の予定である。
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